視力の低下目の疾患(白内障や黄斑変性症など)は、加齢とともに起こりやすくなります。
最近はパソコンやスマートフォンなどで、以前より目を酷使することが多くなったため、疲れ目ドライアイなどは、年齢に関係なく悩んでいる方が多いようです。眼精疲労は、そのまま放っておくと、視力減退や頭痛などに繋がることがあるので、注意したいですね。

漢方では、目のトラブルの原因を「肝」の衰えにあると考えます。

「肝」とは「肝臓」の臓器そのものではなく、血の巡り全般を指します。
加齢やストレス、目の酷使は肝の働きを衰えさせます。
すると、血液の巡りが悪くなり、目へ十分に栄養が届かなくなるため、目のトラブルにつながるというわけです。
過去にテレビ番組で、パイロットが視力試験の前に服用しているいう噂をもとに「視力が2.0になる薬」として漢方の「杞菊地黄丸」が紹介されたことがありました。
「2.0になる」というのは言い過ぎですが、確かに一定の視力回復効果があります。

漢方ではこれを明目作用といいます。

杞菊地黄丸は、もともと1800年前に「老化予防」を目的に作られた処方です。
子供が成長して大人になり、徐々に老化していく流れを、漢方では「腎」の働きに分類します。
この流れを補佐する処方「六味地黄丸」に、肝・腎のの働きを補う「菊花」と「枸杞子(クコの実)」を加えた処方が杞菊地黄丸です。

杞菊地黄丸が脚光を浴びたのは、約20年ほど前。
アメリカや日本などの先進国で使われるうち、「目に対する効果がある」と注目を浴びるようになったのです。
効果はじつに幅広い範囲にわたります。眼精疲労、ドライアイはもちろん、老人性の白内障や黄斑変性症、また糖尿病からくる網膜症を改善させるという報告も上がっています。全体的に目を代表に身体の老化を防ぐ効果があるので、予防的に服用するのもおすすめです。
目に良い食べ物というとブルーベリーがよく耳にしますが、漢方の明目作用のある最も有名なものは枸杞子(クコの実)や菊花です。
漢方で使う生薬は、家庭の食卓とは程遠いものと感じるかもしれませんが、これらは普段、身近に食す食材です。
クコの実は肝の働きを高めて、目の健康状態を改善します。乾燥したクコの実を、1日に大さじ一杯摂るのがおすすめです。
菊花は花粉、細菌・ウイルス等による目の炎症や、肝の熱が目に上がっておこる緑内障などに効果があります。
近年では菊花に、血圧降下作用やコレステロールを減らし、冠状動脈の血流量を増加させる作用も判っており、お茶として愛用する方も増えています。

肝と腎を強くすることは、白内障や黄斑変性症といった加齢による病気の予防にもつながります。
いつまでも元気な目でいきいきと過ごせるよう、日頃の養生を心がけたいものですね。

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