seki夏の暑さも少しずつやわらいできました。これから秋に向かい空気も少しずつ乾燥してきます。
大気の変化は、私たちの体の中で直接鼻や肺に大きく影響を与えます。
そのため、長引く咳で苦しんでいる方は注意が必要です。

  • 風邪をひいてから咳がなかなか止まらない
  • 夜寝ている時に咳が出る
  • 突然起こる空咳
  • 切れにくいしつこい痰
  • などの咳は大変つらいものです。

    咳・痰には細菌やウィルスなどの病原体やホコリ・花粉など異物から身体を守る働きがあります。
    一時的なものであればいいのですが、長引くと非常に体力を消耗していきます。
    中には喘息のような呼吸困難になったり、動悸・息切れなど心臓にも大きな負担を与えます。
    風邪を初めとする病気を治すのは、抗生物質でも風邪薬でも漢方薬でもありません。
    体には病気を治す力があります。いわゆる自然治癒力や抵抗力といったものです。

    咳は肺だけのトラブルではありません

    風邪などの感染症や、暴飲暴食、体力・免疫力の低下、加齢、潤いの低下、ストレス、冷えなど様々な原因で起こります。
    原因がそれぞれ違うので、根本的な対策もそれぞれ違います。
    自分がどういったタイプの咳なのかを見分け、それに合った対策が重要です。

    漢方で咳は大きく分けて、ウィルスや空気の乾燥など体の外の影響からおこる咳と、肺の乾燥や腎の弱り、ストレスの影響などから臓腑の機能失調によっておこる咳の二つに分けられます。
    とくに長引く咳の原因は、臓腑の機能失調によることが多く、肺の潤い不足(肺陰虚)、肺のエネルギー不足(肺気虚)、体のエネルギーや潤いを蓄える腎の機能低下(腎虚)が主です。

    肺の潤いが不足(肺陰虚)している場合

    皮膚や粘膜の乾燥、ほてりが起こりやすくなります。加齢や病気による体力の低下、寝不足が背景にあることも。対策は潤いを補い、睡眠をしっかりとり体力をつけることも大切です。
    食材では梨、葛、白きくらげ、蜂蜜、百合根が肺の養生におすすめです。

    肺のエネルギー不足(肺気虚)の場合

    疲れやすい、息切れ、汗をかきやすい、カゼをひきやすいなどの症状も同時にみられます。
    原因としては、慢性病や肺の病気による体力の低下、栄養不足などが考えられます。
    このようなタイプの咳には、肺を元気にする対策を行います。
    そして胃腸機能が弱いため、エネルギーがしっかり作り出せていないことも考えられるので、胃腸機能を高めることも大切です。
    食材は山芋、かぼちゃ、キャベツ、豆腐などが良いでしょう。

    腎の機能低下(腎虚)

    加齢や慢性病による衰弱などが原因です。
    冷えや下半身にむくみがあり、夜間の多尿などもみられることもあります。
    羊肉、ニラ、クルミ、ギンナン、シナモン、クコの実、くるみなど腎を元気にする食材がおすすめです。

    長引く咳に使われる一般的な漢方薬は、蘇子降気湯、麻杏甘石湯、養陰清肺湯、麦門冬湯、八仙丸などですが、症状や体調、普段から服用しているお薬などにより注意が必要ですので、必ず専門家に相談してから服用するようにしてください。

    痰が多い場合は胃腸の調子が悪いことが多く治りづらい傾向にあります。
    胃腸に負担をかけないよう暴飲暴食を慎み、腹八分を心がけたり、香辛料などの刺激物は控えたほうが良いでしょう。
    場合によっては胃腸を整える漢方薬を併用することもあります。
    また五臓六腑の肺と大腸は表裏関係にありますので、便秘や下痢など腸の状態が悪い場合も慢性化しやすいことがあります。腸内環境も整えるように心がけましょう。

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