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夏になると、だらだら汗をかいたり不快な日も多くなります。しかし、発汗は体にこもった熱を冷ましたり、体調維持には不可欠なものです。

うまく体温調節を出来ないとのぼせ、ほてり、微熱が続く、口渇、不眠、イライラなどの「熱」が原因の症状が多くなります。

単に熱といっても、「実熱」と「虚熱」といった二つのタイプがあり、それぞれ対処法が違います

  • 「実熱」タイプは急性炎症の初期や、気血水の巡りが悪くなり熱エネルギーが停滞しているとき、酒や辛いものなど体を温めるものを摂り過ぎたりしたために、体内の熱が過剰になった状態です。
  • 「虚熱」タイプは必要な栄養、冷却水でもある水分が不足している状態です。

とくに水分は、発汗などにより体温をコントロールするといった冷却水のような働きがあるため、不足すると体内に熱がこもりやすくなります。

虚弱体質の人や、慢性疾患で衰弱傾向の人によく見られますが、加齢により体の水分を保持する力や造血力が落ちることも原因になります。

漢方・中医学には「汗血同源」(汗は血から作られる)という言葉がありますが、血の量や栄養バランスが悪いと、発汗できなくなることが由来です。
暑さで食欲が落ちやすい時期ですが、のどごしの良いそうめんなどばかり食たり、冷たいものを摂り過ぎて胃腸の消化・吸収力を低下させるのは避けましょう。

自分がどちらのタイプか判断するには舌を見るとわかります。舌には体の気・血・水などのバランスや、体の臓器の状態が反映されます。
熱の状態や水分のバランスを把握しやすいのが舌の表面の苔状態です。

  • 実熱タイプでは舌の色は濃い赤で、苔は黄色くなります。
  • 虚熱タイプでも舌の色は赤いですが、苔の量はとても少なかったり、または全くなくなり鏡のようにつるつるになります。ひどい場合には、ひび割れが出てくることも。舌の血色が薄かったり、白っぽい人は水分不足に加え、貧血傾向にある場合があります。

不調があっても、実熱タイプは、体力や免疫力はしっかりしているため、熱の原因になる食品、環境を取り除けば自然に回復する場合が多いですが、虚熱タイプは不足を補わないといけせん。体に潤いを与え、ミネラルも豊富な食材、カキ・シジミ・アサリなどの貝類、のり・メカブ・ヒジキなどの海藻類を積極的に撮るようにしましょう。発汗しすぎてしまう辛いものは、摂り過ぎると体の潤いを低下させてしまいます。風邪や肩こりで有名な葛根湯も、強い発汗薬なので、このタイプは慎重に使う必要があります。

慢性的に微熱が続いている人は虚熱タイプの傾向がとても強いです。この発熱は、感染症ではなく、体の冷却水が不足したために火照っている状態なので、抗生物質や漢方の解熱剤も有効とはいえません。「六味地黄丸」など体の潤いを保持する力を高め、潤い(陰)を補う作用のある処方をベースにした、虚熱を除去する作用のある処方がおすすめです。

「補腎」とは成長や老化・生殖をコントロールする「腎」を補うと言う意味です。近年では、40歳前後の卵巣機能が弱ったり、ホルモン剤などの影響で卵巣が疲弊したときにも、基礎体温が上昇することがあるため、漢方不妊治療でも応用され、良い結果が出ています。

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