私たちの住んでいるここ大崎にもやっと夏の気配を感じられるようになりました。つい先日まで店先をあふれんばかりに賑わせていた筍やいちごなどに代わって、少しずつスイカやメロン、夏野菜などが加わるようになりました。

太陽が思いっきり顔を覗かせる日は汗もかきやすくなります。そんな時、このような食材のなかには体の中にこもった熱を外に追い払い、体を潤わせるという効果もあるため、おおいに地元で収穫された旬の食材を利用したいものです。

さて、前回から乾燥症候群について述べてきましたが、今回はその中のひとつドライマイス(口の乾燥)についてご紹介致します。口が渇く、口がネバネバする、水をよく欲しがる、口臭が気になる、話がしづらい等様々な症状がみられるドライマウスの原因には、体内の潤い不足というものが根本にあるといわれます。その改善法に、水分を保つ力を高め、体全体を潤わせる漢方薬で、消耗した気(エネルギー)を補う人参、体液や潤いを補う麦門冬、体を引き締め気や体液、汗の発散を防ぐ五味子の三つの生薬が配合された、古くから愛用されてきた有名なものがあります。それぞれ三つの異なるこれらの生薬の力を併せることで気の力を補い、汗の余分な漏れを止め、体に潤いをもたせます。

その漢方薬の名は、『生脈散』といい、中国ではすでに900年以上も前から使われており、日本では『麦味参顆粒』という漢方薬で知られています。心臓が弱まった時、脈を取り戻すといわれるこの漢方薬は、疲労回復に優れ、からだを潤し心臓や肺の機能を高めるため、中国ではドリンク剤やお茶として普段からよく飲まれています。熱中症予防、夏バテ防止、スポーツ、旅行のときの必需品として愛用され、また中国の毛沢東が三度目の心筋梗塞で倒れたとき、静脈注射で使用されたといわれています。
麦味参顆粒は、体に大いに潤いと気(エネルギー)を補うため、症状にあわせ、ドライマウスと空咳のある時には、麦味参顆粒と百潤露、糖尿病でドライマウスの方には、麦味参顆粒と八仙丸など使い方にも色々工夫されてきました。

暑い季節に水分補給は欠かせません。しかしご年配の方や胃腸の機能が弱まっている方は、とりすぎると食欲不振やだるさ、むくみにつながってしまいます。また、日本脳卒中学会で、脳卒中は夏に多いという調査結果が発表された事があり、脱水症状を防ぐには、水分補給は欠かせません。しかし、飲んだだけで、体全体に水分が行き渡らなかったり、胃液をどんどん薄めて、消化力を低下させてしまっては大変です。こんな時、昔から愛用されてきた漢方薬を毎日の生活にじょうずに取り入れて、夏を元気にお過ごし下さい。

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