牛黄(ゴオウ)とは

ウシの胆のう中にできた結石を乾燥したものです(胆石)。この胆石が発見できるのはウシ1000頭に1頭ほど。生薬の中でも大変貴重な薬で、金の何倍もの値が付きます。漢方薬は煎じ薬のイメージが強いですが、牛黄は香りが強く揮発性の成分が多いため、煎じには向きません。
通常は粉にして服用するか、蜂蜜など練りあわせた丸剤にして服用します。(カプセルタイプもあります)

牛黄(ゴオウ)の薬理作用

肝臓保護作用

肝臓の働きを助けるため、肝機能障害、疲れなのど疲労倦怠感、二日酔いなどの症状に使います。

解熱作用

カゼや感染症などによる発熱時に使用します。検査をしても原因不明な発熱や、抗生物質を使用しても熱が下がらない場合にも使用します。

赤血球新生促進作用

血液中の成分である赤血球数やヘモグロビン作る働きを高めるため、貧血や血色不良、めまいや立ちくらみ、頭痛に使用します。また、運動するとすぐ息切れしたり、持久力をつけたい場合にも使用します。

血圧降下作用

高い血圧を下げる働きがあるため、肩や首筋のコリ、頭痛、めまい、のぼせなどに使用します。

抗酸化作用

生体内の脂質の酸化を抑える働きがあるため、手足が冷えやしびれ、生活習慣病の予防に使用します。

抗炎症作用

炎症を抑える働きがあるため、ノドの腫れや痛みに使用します。

抗ウイルス作用

ウイルスの活性を抑える働きがあるため、カゼやインフルエンザなどの感染症の症状の緩和や予防に使用します。

強心作用

心臓の働きを高めるため、動悸や不整脈、むくみ、高齢者の体力維持に使用します。

利胆作用

胆汁の分泌を盛んにするため、食欲低下、消化不良、さしこみ、腹部膨満感、肝疾患、慢性の下痢などに使用します。

末梢神経障害改善作用

手足のしびれや痛みなどに使用します。

鎮痙作用

筋肉の痙攣を和らげるため、手足のしびれ、まひ、脳梗塞の後遺症などに使用します。

鎮静作用

交感神経が高ぶって興奮状態にあるときに、神経を和らげます。そのため、ストレスが多くイライラしている場合や不眠などに使用します。集中力を使う作業、緊張しやすい方に使用することもあります。

上記のように、牛黄(ゴオウ)には様々な働きがあるため、ドリンク剤、滋養強壮剤、胃腸薬、風邪薬、救心や六神丸などの強心薬などにひろく配合されています。宇津救命丸(うづきゅうめいがん)など、子供の疳の虫に使う場合もあります。

漢方・中医学での牛黄の働き

芳香開竅薬(ほうこうかいきょうやく)に分類されます。「竅」とは「穴」意味しており、強い香りによって詰まった穴を開く薬という意味です。これにより、脳の働きや心臓の働きを回復させます。また、香りは揮発性の成分が多く煎じると成分が飛んでしまうため、通常は粉にして使用します。

(漢方・中医学の五臓の一つの「心」の働きは、現代医学でいう「心臓」の働きや「ココロ」の意味合いも持っています。これは現代医学でいう「脳の働き」で、精神・意識・思考などのコントロールする働きが「心」には含まれます。このため、「心」の流れが悪いと、脳の働きに影響が現れます。)

効能

開竅豁痰(かいきょうかったん)
開竅=穴を開く、豁痰=痰(たん)を除く、という意味です。漢方・中医学の概念で「心」には穴(心竅)があり、これが通じていれば精神や意識が爽快で、閉ざされると意識の混濁や精神異常が起こるとされています。漢方・中医学の痰(たん)という概念は、一般的な痰(たん)とは違います。ここでの痰(たん)は、体にとって不要な水分を意味していて「有形の痰」と「無形の痰」があります。
通常、私たちが痰(たん)というのは、目に見える「有形の痰」に該当しますが、無形の痰は目に見えません。
身体中の水分のあるところなら、あらゆる場所にたまります。
このため、漢方・中医学でいう「心」の蔵に目に見えない「無形の痰」が詰まると意識障害や精神異常がおこります。

清熱解毒
これは文字通り、熱を冷まし解毒するという意味です。体内に入り、体に悪い影響を与えるものは毒ですが、この場合は発熱などの炎症を伴う場合の治療法と言えます。体が冷えている場合には注意が必要です。

上記のように牛黄単体では、痰や熱、毒といった体内の余計なものを除く働きがあります。よく滋養強壮剤や栄養ドリンクに含まれていますが、他に体を補う生薬が同時に含まれる場合がほとんどです。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事