不妊とアルコールについて
暑くなってくると、ビールを飲むかたも多いと思います。ただ、お酒の飲み過ぎは健康によくありません。奇形精子の増加・勃起能力の低下・生理不順・排卵障害・受胎能力の低下を起こす原因となり、妊娠するための妨げになることもあります。
ただ、「悪いと分かっていてもなかなかやめられない」、「飲まなきゃストレスだ!」といかたも多いのも事実です。
理想的には趣味や運動などでストレスを解消することが望ましいのですが、禁酒することで余計にストレスが貯まるようならホルモン分泌なども悪くなるので、無理に我慢するのではなく、あくまでほどほどに。
飲み過ぎと言いますが、「いったいどれくらいの量なら良いのか?」という疑問をかかえている方が多いのではないでしょうか?
アルコールの代謝能力は、性別・体重・その時の身体の調子によって変動します。また、お酒に強い・弱いと言うように、その方によってアルコールのカラダの感受性が違うため、一概にこのくらいなら大丈夫ということはできません。
目安としては、「1週間にワイン5杯を超えないぐらいの量」に抑えるようにすれば、 お酒が不妊の原因になる事はないといわれていますが、あくまでも目安として、とらえてください。
アルコールの大部分は肝臓で分解されます。あまり知られていませんがカラダにはもうひとつアルコールを分解する器官があります。それは精巣です。精巣内にはアルコールを分解する酵素があるのですが、アルコール摂取量が多いと分解される過程でできる非常に毒性の高い物質(アセトアルデヒド)が精巣中で増加し、精子を作る能力を奪います。また、生殖能力に不可欠な亜鉛の吸収を妨げ、生殖能力を低下させるだけでなく、免疫力が低下、肝機能への障害も出てきます。
肝臓は体内で500以上の働きを担っています。その代表的なものは代謝・エネルギーの貯蔵・解毒・胆汁の生成など。つまり肝臓が疲れてくると、エネルギー不足や、さまざまな有害物質が体内に多くなるために細胞が異常を起こしやすくなります。
休肝日の取り方
アルコールは毎日飲むとやはり肝臓の負担になってしまいます。厚生労働省でも「週2日程度の休肝日」をと提唱されていますが、これは休肝日が週2日以下の人は死亡率が高いということに由来しています。せっかくなら、「連続して3日間、休肝日」をとることをおススメします。
アルコールの分解過程でできるアセトアルデヒドは、肝臓で代謝し終わるまで約48時間かかります。つまり飲んだ日から丸2日は、肝臓はアセトアルデヒドを分解するために働き続けているんです。ですから、本当に肝臓を休めることが出来るのは3日目からなんですね。もちろん休肝日はもっと長いにこしたことはありません。よく「週2日休肝日を作っている」という方がいらっしゃいます。よく聞いてみると、「2~3日飲んで1日休み」という場合が非常に多いのです。毎日お酒を飲むよりは良いですが、せっかくなら「5日飲んで2日休む」といった休肝日の取り方のほうが肝臓の負担は軽減できます。
また、注意して欲しいのが「お酒に強いことと肝臓が丈夫ということは関係がない。」ということ。
お酒に強い人は、アルコールの摂取量も多いため、飲めない人よりも肝臓の損傷が多いとも言えます。