生まれたばかりの赤ちゃんはみずみずしく全身が柔らかくぷるんぷるんの潤いで満たされています。しかし、年を重ねていくうちに少しずつ潤いが消え始め、やがて体は乾燥してきます。乾燥症候群にはドライスキン(皮膚の乾燥)、ドライアイ(目の乾燥)、ドライマウス(口の乾燥)、膣の乾燥など色々ありますが今回はその中の一つ、皮膚が乾燥し潤い不足からカサカサして痒みが発症してしまった場合の漢方的な考え方や対応法について紹介いたします。
年齢とともに胃の力も低下している方が多く、胃の中の血液や水分の量が不足し、その結果熱を作りやすくなります。そこで作られた胃の熱はあたたかいので上に昇り、肺に熱を作ります。肺は皮膚と関係していて、皮膚もほてって痒くなるのです。その熱はさらに上昇し、口の渇きも発生させます。そんな時、冷たいものを摂りすぎると、元々胃腸が弱くなっている方は吸収できずに余分な体液がたまり、血流も悪くなるため、むくみやしびれ、体がだるいといった感じが現れます。水を飲むときの適温は40℃位とされ、自分の体にあった適量をゆっくり口に含ませながら飲むようにしましょう。
体を潤し、ほてりを鎮めるおすすめの食品はユリ、アスパラガス、ホウレンソウ、キュウリ、大根、黒豆、どじょう、うなぎ、ハチミツなどで、なるべく旬のものを食べるとよいでしょう。
漢方では体質によって色々ありますが、体のほてりや渇きを鎮め、潤い効果のある百合・沙参・玉竹等が配合されたものがあり、これの服用で体が潤い長年の痒みから開放されたという人も多く、さらにドライマウスで悩まれている方にも好評です。また体液を補う地黄・山茱萸、余分な水分を取り除く茯苓・沢瀉、胃腸機能を高める山薬、熱を冷まし血流を良くする牡丹皮が配合された“六味丸”にほてりを鎮める知母・黄柏を加えた漢方薬も、体に潤いを増し、痒みに有効です。また、ほてりがひどく発熱のような症状がある時は、赤みやほてりを取り除く赤芍、生地黄、牡丹皮等が配合された涼血清営顆粒もほてりや赤みが消え、痒みに大変効果的です。その他たくさんの種類があり体質もありますのでなるべく専門家にご相談なさって下さい。
お風呂にも注意が必要です。入浴剤を使用する際は皮膚を刺激するホウ砂、色素剤が含まれていないものを選びましょう。石鹸は皮脂を守る弱酸性のものを柔らかいタオルか手のひらにつけよく泡立てて、やさしくそっと刺激をしないように洗って下さい。そしてお風呂上りには、刺激の弱い保湿剤をじょうずに使って体を乾燥から守り、快適な生活をエンジョイして下さい。