今回は、最近中国で妊娠成功率が向上するとして注目を浴びている漢方の周期療法の中の、排卵期と黄体期についての考え方を説明します。
排卵日が近づくとおりものが増えてきますがそれは精子を受け入れやすくするという事にもなり、卵胞の発育の様子を知る手がかりになります。成長した卵胞からスムーズに卵子が外に飛び出すためには、気の流れを良くし血液の流れを良くする事がとても大切と考えられ、また腎の力をサポートする事も大切です。それには香りの良いミントやジャスミンなどのハーブティーもよく、また野菜ではねぎ、らっきょう、にらなどもおすすめです。またなるべくリラックスして体を動かしてみましょう。
黄体期は体温が上昇し、受精卵が着床しやすいようにする期間で、気持ちが不安定になりイライラしやすい時期でもあります。気のめぐりをコントロールするのは肝の機能で、食べ物で気の流れをよくし肝の力を補うものには、セロリ、レモンやハ-ブティーなどがあります。また普段から基礎体温表をつける事をおすすめします。高温期はできれば12日以上持続すること、そして低温期との温度差は0.3~0.5℃が理想です。高温期に入っても体温が下がるというときは腎陽虚(腎陽の力不足)という事が考えられ、それを改善する代表的な漢方薬として参茸補血丸などがありますが詳しくは専門家にご相談下さい。
このすばらしい周期療法により今までなかなか赤ちゃんに恵まれなかった方が少しでも妊娠の喜びにつながる事ができればと願っています。
先日、いつもお世話になっている中国人の日本の事情に大変詳しい漢方のお医者さんが私にこんな事を教えてくれました。中国では赤ちゃんを産んだばかりの女性は3ヵ月ぐらい家事や仕事はいっさいせず、殆ど自分の体の養生と赤ちゃんの世話だけに専念して過ごすけれど、日本の女性は出産してまもなく家事をしたり仕事をはじめたりするのでとても大変そうと話されていました。確かに最近は一人目の子どもには恵まれたけれどなかなか二人目ができずに困っている方も多いし、出産後体調を崩してしまう方もいます。ですから日本の女性は自分の体をもっと大切し、また周囲の温かい理解やサポートがたくさんあればと感じました。出産は女性にとっては大変な仕事です。体のなかで赤ちゃんを養い、出産することはものすごく体力を必要とするし、その後体力の回復をはかりながら、哺乳、育児、家事や仕事をこなす事はよほど丈夫な方でも決して楽ではありません。
東洋医学では、女性にとって妊娠、出産、育児は体にとってものすごく気血のパワーを消耗すると考えられ、中国ではそれを補うために当帰がたくさん入った婦宝当帰膠などのような漢方薬を日常にたくさん取り入れ母親の健康を守るために役立てられてきました。漢方は女性にとって冷え性や生理通だけではなく、不妊治療や流産防止、産後の体力回復にはすばらしい効果があり、育児ノイローゼや第二子不妊につながらないようにするためにも、日本でもっとたくさんの女性に漢方の良さを知り、自分に合うものを普段から日常に取り入れ、健康を守る事ができたらと願っています。