漢方・中医学でよく使われる表現、「気」。
漢方・中医学の理論では、「人体の生命活動を維持するのに欠かせない物質は気・血・津液(水)・精」と位置づけられています。
血・津液(水)・精は現代医学と近いところがあるので、なんとなく分かりやすいのですが、「気」に関してはどうしても腑に落ちない方が多いのではないでしょうか。
漢方相談をしていても、「気=エネルギー」とか大雑把に言ってしまうことがありますが、短時間ではなかなか伝えにくいものが「気」なんです。
漢方・中医学の理論では、「人体の生命活動を維持するのに欠かせない物質」と位置づけられています。
物質というと目で見えそうですが、残念ながら見ることはできません。ですから、現代科学の物質とはちょっと意味合いが違います。
「気」とは主に「臓器や器官のもつ機能やはたらき」を意味します。
「気」の5つの働き
推動作用
カラダの生長・発育、経絡の生理活動、血や水分の流れを推し進めるという働き。
温煦作用
カラダや各組織を温める働き。
防御作用
肌や粘膜を保護し、細菌やウイルスなどの病原などを身体に侵入させないように守る働き。
固摂作用
体液が必要以上に身体の外に漏れるのを防ぎます。汗・尿・血液・精子などが漏れないようにコントロールする働きです。
気化作用
変化する、作り出すという働きです。「気・血・津液(水)・精」はお互いに変化する性質があります。気が血に変化したり、精が気に変化したり。これを気化と呼びます。また、尿が作り出されるのは「膀胱の気化作用」とも表現されます。
「気」はカラダの各組織・臓器によってさまざまな名称で表現されます。元気・宗気・栄気・衛気などなど…
「気」はどのようにして作られるか
これは食べ物から作られます。そしてその「気」が各組織や臓器に運ばれ、正常な生理活動を営むわけです。ですから、店頭では「気=エネルギー」と端的に表現したりしている訳です。
これには消化器系の働き、漢方・中医学でいう「脾」の働きが欠かせません。「補気薬」には必ず胃腸の調子を整える生薬が含まれるのはこのためです。そして、「気」を作り出す「脾」がもっとも嫌うものは湿気(過剰な水分)。梅雨時期に食中毒など消化器系のトラブルが起こりやすいのは、細菌の繁殖のほかにもこのような理由があるためです。
基礎体温表では、低温器から高温期に移行するのに時間がかかってしまう方がこの傾向が強いように思います。
先日、中国に中医大附属病院に研修に行ってきた。研修後、中国のビールを飲む機会があったのですが、、、冷えてました…前回、北京に行った時は少し生ぬるい、胃腸に負担のかからない温度だったのに…
「気」はエネルギーの源です。胃腸(脾)を気遣う生活を心がけることは、「気」の充実に直結します。「気」が充実していると、各臓器、もちろん子宮や卵巣のの活動もスムーズに行われるようになってくきます。
胃腸にやさしい生活
風邪をひくと、うどんやお粥などの柔らかいものを食べる習慣がありますが、これは噛まなければ逆効果です。胃腸障害があり、食欲が低下しているときは、カラダから消化能力が低下しているサインが出ているということです。うどんやお粥はたしかに柔らかく食べやすいのですが、胃腸は吸収するために、それよりもはるかに細かい栄養素に変換する必要があります。食べる時に私たちが出来る唯一のことは、よく噛むこと。そして、熱いもの・冷たいものの温度を体温程度に調節して、胃腸を冷えや熱から守り、負担を軽くしてあげることです。
人間の消化能力は夕方6時以降から低下すると言われますが、現代生活ではなかなか早い時間に夕食はとりづらいものです。ですから、せめて夕食だけでも、ゆっくりよく噛むという習慣を心がけると良いと思います。