「半夏厚朴湯」はこんな方に使います

半夏厚朴湯は気分がふさいでのどに異物感があり、ときに動悸やはきけがある方の神経性胃炎、不安神経症、せき、しわがれ声などを改善します。気のめぐりを良くし、不安感や神経症状を鎮める働きがあります。

たまに食道に異物感を感じて咳払いしたくなる、のどに何か詰まっているような感じがするけれど、検査をしても何も見つからない。これはヒステリー球という症状です。漢方・中医学ではこのノドに何か詰まっている感じを、梅のタネが詰まったような感覚ということで梅核気(ばいかくき)と呼びます。半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)はこのヒステリー球に用いられる代表的な漢方薬です。

「半夏厚朴湯」はどんな薬?

半夏厚朴湯の効能・効果

体力中等度をめやすとして,気分がふさいで,咽喉・食道部に異物感があり,ときに動悸,めまい,嘔気などを伴う次の諸症:不安神経症,神経性胃炎,つわり,せき,しわがれ声,のどのつかえ感

半夏厚朴湯は気の流れを整える働き、余計な水分を取り除く働きを持つ漢方薬です。分類上、漢方薬の中で理気剤というものに分類されます。これは気の流れを整えるという働きの漢方薬という意味ですが、関連深いのはストレスです。
すごく嫌なことがあったときや恐怖を感じたとき、不安なことがあったときは胸が締めつけられる感じが起こります。同時に呼吸が浅くなったり、吐き気がすることも。このような状態は漢方では肝気鬱結(かんきうっけつ)といい、気の流れが滞り胸のあたりに気の塊ができてしまった状態と考えます。この気の塊が肺を圧迫すると呼吸が浅くなったり、胃を圧迫すると吐き気がおこります。

肺や脾胃(消化器系)の機能が乱れると水分代謝が低下してしまうため、体内に余計な水分の「痰湿」が作られます。この痰湿は気・血・水の流れを滞らせてしまうため全身に様々な症状が現れます。西洋医学でなかなか改善しない場合、この痰湿という概念が大きく関係する場合があります。
余計な水分というと浮腫がイメージしやすいですが、漢方では痰湿の影響は不必要に多い胃酸なども痰湿に含まれます。このため嘔吐、神経性胃炎、つわりなどにも適用となります。

「半夏厚朴湯」に含まれる生薬

半夏(ハンゲ)、茯苓(ブクリョウ)、生姜(ショウキョウ)、厚朴(コウボク)、蘇葉(ソヨウ)の5つの生薬で構成されます。

半夏、茯苓、生姜痰(体の中の余計な水分)を取り除く働き。
厚朴、蘇葉気の流れを改善する働き。

漢方の効能では理気と化痰の二つの効能を合せ持つ処方となります。配合される生薬量はメーカーにより若干割合が違う場合もあります。

「半夏厚朴湯」を服用する際に注意が必要な方

効能効果に記載してある“体力中等度をめやす”というのは、気を流すというのは同時に気を消耗るため、ある程度の体力は必要となります。また、余計な水分を取り除くというのは、場合によっては体の必要な水分を奪ってしまうので注意が必要です。このため、体が乾燥傾向、口の乾きやのぼせなどの症状が強い方の使用も注意が必要になります。
体力に自信がない場合に服用する場合は、体力を高める気を補う処方を併用したり、乾燥傾向の方も潤いを補う処方と併用する場合もありますので、心配な方は専門家にご相談ください。

また、半夏厚朴湯の成分は植物です。食物アレルギーなどが起こる可能性もあるので、服用後に皮膚や粘膜に発疹・発赤、かゆみなどが現れた場合も服用を中止しご相談ください。

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