最近、メディアの影響か「大建中湯」という漢方薬をお求めの方が多いです。お話をうかがってみると、便秘解消の目的で服用したいとのこと。ただ、大建中湯が適応する便秘ってそんなに多くないんですね。服用することで逆に便秘を引き起こしてしまう可能性も高い漢方薬ですのでご注意ください。

大建中湯はこんな漢方薬
大建中湯はそもそも便秘薬ではありません。
『大建中湯』の名称に含まれる『中』の文字。これは人間の体を上部、中部、下部に分けた時、ちょうど胃腸に当たる中部を意味します。漢方では中焦と呼びますが、この真ん中の部分の不調を建て直すという意味合いがあります。類似名称の処方に『小建中湯』がありますが、こちらは小さなお子さんにも使える穏やかで体に優しい漢方薬ですが、『大建中湯』というのはより激しく一気に建て直すといった意味合いの処方です。

大建中湯はよく病院で、大腸手術の後の回復期に腸閉塞(イレウス)などの予防を期待して使われることがあります。大建中湯は腸の動きを改善するのが得意な処方です。
効能・効果は
腹が冷えて痛み、腹部膨満感のあるもの
お腹を温め、腸の動きを良くするという意味にもとれ、なんだか体に優しそうなイメージを持ちそうですが。

中に配合されている生薬は乾姜(かんきょう)、人参(にんじん)、山椒(さんしょう)、膠飴(こうい)の4種類。
生薬には体を冷やしたり温めたりする働きの分類がそれぞれあります。

熱>温>平>涼>寒

中でも山椒は『熱』に分類され、体を温める働きがとても強い生薬です。このような生薬は、陰虚といい体が乾燥傾向にある場合に用いるのは禁忌とされています。熱は水分を飛ばしてより乾燥させてしまいますので。

便秘でも乾燥して硬い、コロコロしたウサギのような便に使うと、余計に腸が乾燥して便秘が悪化してしまうのでご注意ください。

このような時は、腸の働きを良くしながら同時に潤いを与えるような処方が適切です。
(例:麻子仁丸など)

大建中湯はものすごくお腹が冷えて胃腸の機能が失調してしまった時に用いる処方。アイスを食べすぎて、腸がけいれんを起こして痛くなってしまった時とかですね。

便秘の場合は、体に熱がこもっていることが多いので、大建中湯のように体を温め乾燥させるような処方かなり慎重に選択する必要があります。

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