漢方メーカー、イスクラ産業から発売された変わった健康食品「艶麗丹(えんれいたん)」を紹介します。
何が変わっているかというと、哈士蟆油(ハシマユと呼びます)という高級食材が含まれています。中国ではツバメの巣と並ぶ高級食材で、コラーゲン、ムコ多糖類が多いためゼリーのような食感です。

艶麗丹は健康食品ですが、中医学的には同じような働きを持つものに『麦味地黄丸(製品名:八仙丸)』がありますがこちらは医薬品です。艶麗丹と八仙丸の違いについても触れていきたいと思います。

艶麗丹の成分

商品名艶麗丹(えんれいたん)
原材料マカダミアナッツ油、ゼラチン、西洋人参エキス末、哈士蟆油微粉末(カエルの輸卵管)、銀耳エキス末(銀耳エキス、デキストリン)、真珠微粉末、亜鉛酵母、グリセリン、トコトリエノール、ミツロウ、乳化剤、着色料(酸化チタン)
摂取方法1日4粒〜8粒を目安に
販売メーカーイスクラ産業株式会社
価格16,000円(税抜)/2粒×60包

トコトリエノール(ビタミンE)、皮膚粘膜の機能維持に関わる亜鉛も含まれているので、なんとなく美容に良さそうですが。パッと見意味がわからない製品ですね(^^;
漢方メーカーの製品ですので漢方・中医学的な解説をいたします。

漢方・中医学的な考察

艶麗丹の含まれる成分を中医学的で見ると「肺腎陰虚」という状態に用いる構成ということになります。「滋腎潤肺」と言い、五臓の「肺」と「腎」に栄養や潤いを与えるという働きです。

漢方・中医学の「肺」とは
五臓の肺は呼吸器の他に皮膚や粘膜なども含まれます。乾燥すると皮膚もカサカサになり空咳なども起こりますが、乾燥に弱い臓器というのが「肺」の特徴です。呼吸器・皮膚・粘膜を適度に潤し、細菌、ウイルス、アレルゲンなどを体内に入れないようなバリア機能を持ち、免疫にも関わる臓器です。
息切れなどで空気がしっかり吸えないと、酸素が足りなくなり疲れやすくなりますね。肺は活動する力にも大きく関わります。これは漢方・中医学の「気」の働きに相当します。
漢方・中医学の「腎」とは
五臓の「腎」は腎臓だけでなく膀胱なども含めた泌尿器全般、生殖器なども含まれます。また、成長や老化、免疫にも関わり、体の潤いや温める働きを保つのも腎と深く関係します。
このことから、老化現象や子供の成長が遅いなどの発育遅延も、漢方では腎の機能低下として『腎虚』と表現します。また、「腎」は生殖にも関わるため、不妊などの生殖能力を高める対策としても使います。

ざっくりですが中医学の「肺」と「腎」は上記のような働きになります。

体の中の熱(陽)と水(飲)はバランスが大切で、どちらかが不足したり過剰になったりしてもよくありません。「肺腎陰虚」というのは体の中の潤いが不足したような状態で、いわば冷却水が不足したような状態。すると余計な熱が体に溜まってしまいほてりや乾燥症状が生まれます。肺腎陰虚とはこの乾燥やほてりの症状が「肺」→皮膚、粘膜、呼吸器などに現れてくる状態です。

配合成分の特徴を見ていきましょう。

哈士蟆油(ハシマユ)

この正体はカエル(中国林蛙)の輸卵管です。両生類と哺乳類は違うので卵管ではないです。哺乳類でいう子宮、卵管、膣のあたりをさします。別名、雪蛤(せつごう)、ハスモなどとも呼びます。気持ち悪そうですが、無味無臭。中国では薬膳としてツバメの巣と並ぶ高級食材で、美容系の薬膳スイーツとして人気です。ムコ多糖類が多いためゼリーのような食感です。中医学では「補腎益精・養陰潤肺」という働きを持ちます。意味合いとしては「肺」と「腎」に潤いと栄養を与える+アンチエイジングという感じです。呼吸器・皮膚・粘膜に潤いを与えるというのはこのハシマユの働きです。

銀耳(ギンジ)

これは白キクラゲのことです。黒キクラゲの方が馴染深いかもしれません。気をつけているとサラダバーなどでよく見かけます。
中医学では色の黒いものは「腎」、色の白いものは「肺」に作用するとされ銀耳も肺に潤いを与えるものです。

珍珠(チンジュ)

装飾品としても使われる真珠。この真珠の核を除いた部分を粉にしたものです。働きとしては安神作用、精神を安定させ、リラックスさせる効果に近い働きがあります。この真珠の粉は化粧品にも配合されることがありますが、古来から肌を美しくする働きがあるとして使われてきました。

西洋人参(セイヨウニンジン)

漢方で人参と言えば「朝鮮人参」が有名ですね。両方とも滋養強壮の働きを持っていますが、朝鮮人参は体を温める働きが強く体を乾燥させる働きも強い生薬です。西洋人参は体に潤いを与える働きに優れます。

肺腎陰虚の症状を現代でいうと

まずは一般的な老化現象かな…いう症状です。

物忘れ、耳鳴りや難聴、歯がもろい、腰痛、足腰が弱い、疲れやすい、脱毛、白髪、精力の減退(不妊)

このような症状のほか、ほてりや乾燥、皮膚や呼吸器系の症状が出てきます。

皮膚・粘膜・呼吸器系の乾燥症状鼻炎、空咳、喘息、息切れ

アトピー性皮膚炎などの皮膚トラブル湿疹、かゆみ、赤み

漢方薬ではこのような「肺腎陰虚」に対応する場合、麦味地黄丸(八仙丸)という処方を用います。

艶麗丹と八仙丸の違い

中医学的には艶麗丹も八仙丸も肺腎陰虚に使う処方ですが、艶麗丹は健康食品なので、効能効果はありません。八仙丸の効能効果は下記のようになります。

体力中等度以下で、疲れやすく胃腸障害がなく、ときにせき、口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ、息切れ、からぜき

皮膚疾患の記載はありませんが、前述の「肺腎陰虚」の状態に使います。二つの中医学での違いは以下のようになります。

胃腸が弱くても使える

八仙丸の効能・効果の冒頭に「〜〜胃腸障害がなく〜〜」とあります。八仙丸は胃腸負担がかかりやすい生薬が含まれているため、下痢しやすい方は使いにくかったりします。その点、艶麗丹は胃腸に負担がかかる心配はないので使えます。

補う働きは八仙丸より強い?

体の中の潤い「陰」というのも、実は色々種類があり、奥深〜い元気の源を「精」と呼びます。動物性生薬はこの「精」を補うことが植物性生薬よりはるかに強くなります。 八仙丸は植物性の生薬のみ。艶麗丹は動物性の哈士蟆油(ハシマユ)が含まれるので、「陰」を補う力はこちらの方が強いかなと思います。

 アンチエイジング的な働きを持つ補腎薬。温める力を高める「補腎陽」に働くものと、潤いを与える「補腎陰」に働くものに分かれますが。両方とも胃腸に負担かかる処方が比較的多いです。温める力を高める「補腎陽」に働く処方で、胃腸に負担がかからないものは「参馬補腎丸(じんばほじんがん)」などがあります。

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