日水清心丸とは

肉体疲労だけでなく精神疲労でも人気の日水清心丸。かつてダウンタウンDXでEXILEメンバー飲んでいるということで話題になった漢方薬です。
価格は1丸、3300円!とても高価な漢方薬です。
漢方薬に馴染みのない方は驚くことが多いのですが、剤型は約1.5cmの大きな飴玉のような金色の丸い玉です。大蜜丸と言います。硬さはキャラメル程度ですが、これが金箔でコーティングされています。漢方薬は煎じるというイメージが強いですが、生薬の粉末をハチミツなどで練り固めたものがこのような剤型になります。

様々なメーカーで似たような名称の「〇〇清心丸」があります。これらは名前こそ似ていますが、中身が違うことも結構多いんですね。各メーカー「清心丸」としての特徴は「牛黄」が含まれることですが、本来牛黄は疲労回復に使う生薬ではありません。他の生薬とうまく組み合わせられることで、このような効果を発揮します。

記載されている効能効果が全く同じ処方で、イスクラ牛黄清心丸があります。こちらは疲労回復よりも別の働き、開竅作用(かいきょう作用)を狙った処方ですので、単独服用はちょっとしにくいかなという処方です。清心丸の名称を持つ漢方薬はいくつかありますが、配合されている生薬の数は約10種類〜30種類くらいのものまで様々です。配合される生薬も組み合わせもかなり違います。
まず「日水清心丸」の製品の特徴を見て見ましょう。

日水清心丸は,中国の北宋時代の書物「太平恵民和剤局方」に収載されている「牛黄清心丸」が原典です。「牛黄清心丸」は,長い年月をかけ処方が改良され,皇帝から庶民へ広く使われるようになりました。日水清心丸は貴重な牛黄をはじめ人参,当帰など各種生薬を配合し,金箔をほどこした丸剤です。中国の伝統的な製法を活かしながら近代的品質管理のもとで製造された医薬品です。
となっています。
正確には「牛黄清心丸」は中国の北宗の時代(1107年〜1110年)、「太平恵民和剤局方」に収載された「牛黄清心圓」がという名称で掲載されたことが最初です。
この時の構成生薬は約30種類。この時の効能の現代解釈は、『脳卒中にともなう半身不随や言語障害、高熱をともなう感染症などの急性熱病、熱中症、意識障害やけいれん、精神不安、不眠、頭重、自律神経失調症、ヒステリー、ひきつけ、狂乱など』に使われる処方でした。生薬の牛黄は漢方では開竅薬(かいきょうやく)というものに分類され、上記のような時に使われます。開竅とは頭をスッキリさせ、自律神経などをととのえると言った働きが近いです。
この時の処方は、朱砂(しゅしゃ)、雄黄(ゆうおう)といった水銀やヒ素が主成分の生薬も含まれています。これらは神経毒ですので長期服用はできません。脳卒中などのような場合にあくまで救急的に用いられてきた処方となります。 「太平恵民和剤局方」に収載された「牛黄清心圓」はその後各地に伝わり、この「牛黄清心圓(ごおうせいしんえん)」をベースに改変された加減方が存在します。1960年代の朝鮮の医書、東医宝鑑に「牛黄清心元」、痘疹世医心方には「牛黄清心丸」として収載されています。元々は「太平恵民和剤局方」が原点ですが、各地の情勢や人種に合わせて改変された様々な清心丸があります。現代では当時のような毒物は含まれてないですが、効能としては脳卒中にともなう症状を改善する開竅作用を強調したり、日常の健康維持に合わせて滋養強壮薬として改変されたものなど様々です。
原典の生薬構成は約30種類でしたが、日水清心丸は12種類+ハチミツ+金箔の計14種類の構成です。(ハチミツや金箔も生薬です)
他の清心丸にも共通することですが、国内で発売されているものであれば、日本の医薬品基準をクリアしていますので、もちろん水銀やヒ素といったものも含まれません。

清心丸は何に効きますか?

日水清心丸の記載の効能効果

次の場合の滋養強壮:虚弱体質,肉体疲労,病中病後,胃腸虚弱,食欲不振
となっています。
日水清心丸はなんといっても疲労にはオススメです。牛黄は高価な栄養ドリンクなどにも含まれていますが、その配合量が比較にならないほど清心丸には含まれており、その分即効性も高いです。牛黄は幅広い抗酸化作用を持っているので、肉体疲労だけでなく、ストレスなどによる脳疲労のような場合でも評判が良い漢方薬です。とはいえ高額なので、個人的には登山やゴルフ、長距離のドライブや旅行などに一丸持ち歩いていると心強い処方だと思います。

頭をスッキリさせる開竅薬はとても即効性が高いものが多いのですが、漢方では開竅薬だけを使用すると『気』を消耗を引き起こすとされます。
記載されている効能効果が全く同じ処方で、イスクラ牛黄清心丸がありますが、こちらは開竅作用を狙った処方ですので、単独服用はちょっとしにくいかなという処方です。
清心丸の名称を持つ漢方薬はいくつかありますが、配合されている生薬の数は約10種類〜30種類くらいのものまで様々です。配合される生薬も組み合わせかなり違います。

清心丸に含まれる牛黄の特徴、開竅(かいきょう)とは?

開竅というのは穴を開くという意味合いです。そうすることで、体の気血水のめぐりをよくします。意識障害、精神障害などの原因を漢方では下記のように捉えることがあります。

「心」の臓器にある穴がなんらかの原因で塞がってしまったのが原因

これに対応するのが「開竅」

人の精神や意識は、「心」の臓器にある穴を行ったり来たりしているというイメージです。この穴を開けることで気血水の巡りを改善しようというのが開竅薬の働きです。体の巡りをよくすると言うとすごく良いイメージを持ちそうですが、巡りをよくするというのは同時に気血を消耗します。開竅という働きは、巡らせる働きが非常に強いので、少なからず気血の消耗を起こし、逆に疲れやすくなってしまうということも。このため、日水清心丸には『気』や『血』を補う生薬、消化器系の働きを高めエネルギーの産生量を高める生薬などが加わっています。本来の牛黄清心丸と比較すると、開竅の働きは弱まりますが、体を補う生薬もふんだんに含まれているため、滋養強壮目的で日常的に服用できる構成になっています。

日水清心丸の服用の仕方

清心丸の開封の仕方

清心丸はこのような丸いプラスチックをロウで覆った形状をしています。まずはこれを割らないといけないのですが、少しコツがいります。プラスチックに割れ目がありますのでこのラインを押し潰すようにすると割ることができます。意外と力が必要な場合もあるので、手のひらで押し潰すようにして開けます。押し潰す向きを間違えるとうまく開きません。丸い形なので、うっかり滑って手首などを痛めないように注意する必要があります。

うまく開けられない場合は、分厚い本のようなものを挟んで押し潰すとラクに開けられます。金色の文字が刻印されていますが、ここを押しても割れませんのでご注意を(^-^;
冬などの寒い時期はロウの皮膜が硬くなっているので、開封される場合はこたつなどで少し温めて柔らかくしてから割るというのもオススメです。

服用の仕方

大きさが2cmとかなり大きいので、通常の薬のようにそのまま丸呑みはしないでください。
(冗談のように聞こえますが、たまに本当に丸呑みする方もいらっしゃるので記載します)
硬さはキャラメル程度ですので、同じように口の中で溶かしても良いですし、噛み砕いても構いません。少量ずつ分割して服用する場合は、清心丸を直接かじるより、包丁などであらかじめ切っておいたほうが衛生的かと思います。

清心丸が高額な理由

どの清心丸も高額なのはなんといっても主薬となる牛黄の価格。牛黄は牛の胆のうにできる結石で天然のものはなかなか手に入りません。もともと高価な生薬なのですが、近年急激に価格が高騰しています。牛黄の主な原産地は南米なのですが、牛の飼育数が急激に減少していることが原因です。経営が牛の牧場からトウモロコシ畑に転向しているそうです。近年注目されているバイオエネルギー推進の兼ね合いです(^-^;
このため、各メーカー、牛黄の含まれる製剤をここ4〜5年の間に値上げするところが目立っています。

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