第2類医薬品

乙字湯とは

乙字湯は痔(じ)の改善に使う代表処方です。漢方・中医学での痔の原因はいくつかありますが、乙字湯は「湿熱」が下腹部に停滞したために悪化したタイプに使う処方です。効能は痔関連の記載しかありませんが、元々は下腹部の全般の湿熱に対応する漢方薬ですので、古典では陰部の痒みやオリモノなどにも使う記載があります
「湿熱」というのは脂分の多い食事や生もの、辛いもの、アルコールなどの暴飲暴食などで、消化不良がおき腸内環境が悪化したような状態です。これが過剰になると痔の炎症も悪化すると考えられます。過剰になった湿熱を外に排出させるために下剤のような働きをもつ生薬も含まれています。

下剤でもある大黄(だいおう)という生薬、黄芩(おうごん)や柴胡(さいこ)といった炎症を鎮める生薬が含まれています。体力中等度以上とありますが、ひどい下痢をすると体力を消耗したり、脱水がおきたりします。このためお腹のゆるい方や体力の少ない方は注意が必要です。
効能に『軽度の脱肛』とありますが、漢方・中医学ではこの状態を『中気下陥』と表現します。体を上・真ん中・下と大きく3つに分けたとき、お腹は真ん中です。その真ん中の気が弱っているため内臓が下に落ちてきたという状態です。ショウマ(升麻)やサイコ(柴胡)にはこの落ちてきた気を持ち上げるという働きがあります。
体力がない、疲れやすいという状態は『気』が不足した状態です。気というのはエネルギーですので、足りない状態だと持ち上げることもできません。この場合の脱肛は補中益気湯のような気を補いながら持ち上げる処方を使います。

乙字湯には止血作用はありません。出血がひどい時は槐角丸や田七人参といった生薬を併用するのがおすすめです。

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