「便通はどうですか?」
- 「調子良いです。」
「1日何回お通じありますか?」
- 「毎日はないです、2~3日に1回。」
どのように思いますか?
きっと少ないと思われるかた、普通だと思われるかた、それぞれいると思います。
お通じは毎日あるべきですが、普通はなかなか他人と比較したりしませんよね。自分が便秘だと気付けないのも無理もないと思います。
ただ、便通が悪いと体内に様々な毒素や老廃物、熱がこもってしまい、さまざまな炎症のもととなります。
「便秘は肌荒れのもと」
便秘薬の効能に、肌荒れやニキビと記載されていますが、漢方・中医学でも古来から大腸や皮膚は「肺」と経絡が通じているといわれていました。
便秘で大腸に老廃物や毒素が貯まると、皮膚から毒素を出そうとするために肌荒れや炎症がおこります。
便秘の原因はさまざま
- 腸の一部が締め付けられ、細くなったり遮断されたりして便が動けなくなる。
- 腸の蠕動運動の異常、途中で便が動けなくなる。
- 腸内の潤いが不足し、便が硬く大きくなる。
- 量が少なくなり、ウサギのようなコロコロした便になる。
漢方・中医学で便秘は
熱結便秘
身体に余計な熱があるため、便の水分をとばして硬くなってしまう
気滞便秘
気の流れが滞り、腸の蠕動運動が低下するためにおこります
気虚便秘
大腸のチカラ不足。すっきり排便することができません
陽虚便秘
カラダを温める陽気が不足したためにおこる冷えによる便秘。冷えにより腸の機能が低下しておこります
血虚便秘
血の質が低下し、腸を潤すことができなくなるためにおこります
陰虚便秘
全身の水分の不足から、腸を潤すことができなくなるためにおこります
市販されている便秘薬には「大黄」や「センナ」が含まれている薬が多いですが、これらは無理やり大腸を動かし排便を促すものなので、即効性はありますが腸のチカラを消耗させてしまうこともあります。「気虚・陽虚・血虚・陰虚による便秘」のかたはそれぞれ不足した力を補いながら、腸を動かす力を高めてあげる必要があります。
陽虚便秘・気虚便秘
この2つのタイプは、改善するのに時間がかかります。便秘薬で即効性のあるものは身体の熱を奪うものが多いため、身体への負担が大きくなってしまいます。「大黄」「桃仁」などの効き目の強い生薬を大量に使うことはできません。少しずつ、身体を温めたり、お腹の調子を整えながら改善していきます。
気滞・気虚の便秘は、「納豆」の摂り過ぎに注意
食物繊維は、腸内の不要なものをからめとり、すっきりした便を出すには欠かせないものです。この作用は食物繊維は腸内で消化されないために発揮されるわけです。ただ、腸に充分な潤いがなかったり、動きが低下している状態に過剰に摂取すると、逆に詰まるモトになってしまいます。
食物繊維はむしろ、意識して摂取しないと不足しがちな傾向がありますが、身近で気軽に摂れるものに「納豆」があります。「納豆」はとても健康効果の高い食品ですが、漢方・中医学では、「納豆」の摂り過ぎは気滞を招くとされています。
便秘がちでお腹が張って苦しいとお悩みの方がいらっしゃったのですが、健康のために毎日夜に納豆を食べるようにしていたそうです。今のお話をし、2~3日に1回に回数を減らし、朝食に摂るようにしていただいたところ、お腹の張りが改善し便通もよくなったということもありました。
納豆に含まれる酵素、ナットウキナーゼは血液をサラサラにする作用があると言われています。人は夜、寝ている間の血流が悪くなるため、夜に納豆を食べると血流が改善し、健康増進効果、美容効果がもっとも期待できるという説もあります。
ただ、人の消化能力は夜、寝ている間は低下しています。便秘がちなかたが、夜に納豆を食べてしまうと腸の負担になり、ますます便秘を悪化させてしまうということにもなりまねません。
身体に良いとされる食材でも、摂りすぎはよくありません。あくまでもほどほどに摂取することをおススメします。