尿のトラブルは加齢とともにおくりやすく、冷えなどの季節的な影響も関係します。漢方・中医学で改善するには、その原因をきちんと把握する必要があります。
それぞれの原因を考慮して、適切な漢方薬を服用することが大切です。
尿トラブルの原因別、漢方での対処法
膀胱炎などの感染症
急性の場合は、膀胱で細菌が繁殖し、炎症がおこっている状態です。トイレが近いからといって、水分摂取量を減らしたり、必要以上に下腹部を温めたりするのは逆効果。利尿作用のあるもので、膀胱内の増えてしまった細菌を早く出した方が治りが早いです。また、抗炎症作用のある処方を併用するとより効果的です。
慢性の場合、背景に免疫力の低下があります。抗生剤などを服用しているうちは良いが、薬がきれると再び菌が増えてしまいます。この場合は、菌や炎症を抑えながら、体力や免疫力を高める処方を併用します。
筋力の低下
排尿をコントロールする尿道括約筋は運動不足や加齢などで低下します。
漢方・中医学では、加齢は腎の働きの低下(腎虚)と分類されるため、腎の働きを高める補腎の効果がある処方が適切です。
また、筋力低下は脾の働きと最も関係が深いとされています。
(脾は現代でいう消化器系の働きに似ています)
脾虚(脾の働きの低下)が慢性的に続くと、栄養不足(血虚)になってしまうため、筋肉が衰えてしまうためです。そのため、脾の働きを高める処方を用います。
前立腺肥大
男性に多く、老化との関連があります。漢方では「補腎」の効果があるものと、前立腺の血行を良くする「活血」の働きがあるものが適切です。
冷え
体が冷えると、汗腺も閉じてしまい、汗の分泌が少なくなります。そのため、膀胱に水分が溜まりやすくなり、トイレも近くなります。冷えの原因に合わせて適切な処方を使用します。
自律神経の乱れ
尿を溜める膀胱を膨らませたり、収縮したりさせる働きは自律神経が支配しています。自律神経が乱れ、膀胱内に尿が十分に溜まっていないのに収縮させたりすると、尿意として現れます。この場合は自律神経を安定させる処方、膀胱の筋肉が拡張、収縮しやすいように血行を良くする活血剤などを使用します。
例えば、比較的高齢者に多いのが、
「肉類など脂物は食べたくない、冷える、睡眠が浅い(短い)」
このような場合は、
脾虚(胃腸機能の低下)、腎陽虚(体を温める力の低下)、瘀血(血行不良)、血虚(栄養不足)などが考えられるため、同時に対処したほうが早く改善します。
複数の処方を併用した場合の飲み合わせなどは、ご相談下さい。