子宝・不妊の漢方相談では、「基礎体温、できれば紙に書いてきてください。」という先生も多いかと思います。その方の経過を把握し、最適な漢方薬を提案するためには、やはり過去の分も含めて基礎体温表はあった方が参考になります。そのため、相談の際に体温表の控え(コピー)の取りやすい紙媒体の基礎体温表を勧めることがあります。

基礎体温は毎日測定するべきものですので、正直毎日紙に記載するというのもかなりの手間です。最近は婦人体温計とスマホアプリが連動し、測定後、いちいち控えなくても自動でスマホアプリに記録してくれるようなものもあるのでとても便利です。

ただ、スマホアプリで表示される基礎体温のグラフの波形はマチマチです。実際に拝見させていただくと、体温の特徴が掴みにくかったりするアプリもしばしばあるように感じています。そこで、無料で使えるスマホの主要アプリをいくつかダウンロード。45日分の基礎体温を入力し、使い勝手や機能などを比較、検討し、不妊カウンセラー目線でオススメの基礎体温アプリを紹介したいと思います。

こんな基準で基礎体温管理アプリを選んでいただくと助かります

グラフが横画面表示に対応しているか

基礎体温を毎日つけていくと、とても長いグラフになります。これを見るとき、スマホの画面の横表示に対応しているアプリだと、とても見やすいです。絶対に備えていなければならない機能ではないのですが、あった方が確実に見やすいと思います。

グラフが見やすいか、メモリは正方形に近いもの

基礎体温表を見るときに、体温が安定しているかというのも大切です。このためにはメモリの形は正方形に近い方がベスト
ホルモンバランスが乱れていたりすると、基礎体温に反映され乱高下が激しくなる場合もあります。そのため、メモリの幅が縦に長すぎたりすると比較的安定している体温でも一見ガタガタに見えてしまい、ホルモンバランスが乱れているように見えてしまうことがあります。

計り忘れた日のグラフが線で結ばれないもの

基礎体温は毎日測るのが理想ですが、旅行に持っていくのを忘れてしまったり、ついつい寝坊して計り忘れてしまったり。忘れることも出てきます。計り忘れた場合はグラフを線で結ばないでください。基礎体温アプリの中には計り忘れた場合、飛ばされずにそのまま直線で結ばれるものもあるので、出来ればそのように表示されるアプリは避け、線で結ばれないもの、結ばれるとしてもせめて点線でというタイプのグラフがありがたいです。
高温期はプロゲステロンという黄体ホルモンの働きで体温が上昇します。このホルモンの分泌が悪かったり、働きが鈍かったりすると排卵後にスムーズに体温が上昇しなかったり、高温期の途中で体温が急に下がったりすることがあります。このため、計り忘れたからといって実線で結ばれてしまうと一見、基礎体温が安定しているように見えてしまうことがあるため、忘れた場合はそのまま飛ばしていただいた方がありがたいです。

印刷できる、またはメールに添付して送信できる機能があるか

例えば不妊や月経不順など月経周期に絡む不調がある場合。将来的に病院や漢方薬局などに相談する可能性がある場合は、基礎体温表をドクターやカウンセラーに提出できる機能があった方が良いです。アプリによっては無料で機能を備えているもの、有料で機能を追加できるもの、未対応のものがあります。
スマホ表示の基礎体温でも良いのですが、体調は常に変化します。そのため、過去の基礎体温表と比較したほうが改善策を提案しやすいこともあるためです。

オススメのアプリ

カラダのキモチ、コウノトリ、ミチル(michiru)、Eggy、シンプル基礎体温が上記条件にマッチする機能が多くオススメです。ダウンロード数が多いと思われるルナルナ系は計測し忘れた場合も線で結ばれてしまうため、除外しました。

基礎体温アプリの使用感

ルナルナ体温ノート

グラフはとても見やすいのですが体温を保存するのに時間がかかります。あまりに時間がかかるので、入力は途中でやめてしまいました。婦人体温計と連動して自動保存できる機能があるので、対応する体温計を使う場合は利用しやすいのかもしれません。
グラフは写真として保存でき、メールなどで送ることが可能です。
四日分入力しないと線が惹かれないのですが、三日以下の場合は実線で結ばれてしまうのが惜しいです。

Eggy

入力しやすく使いやすいです。45日分の体温もサクサク入力できました。無料で基礎体温表の出力機能がついてるのがありがたいです。しかも写真やPDF両方の保存に対応しています。wifiを経由して直接印刷することも、データーを添付してメール送信することも可能。ただ、出力データのメモリの幅が、若干縦に長い感じがしますが、この程度なら問題ありません。

Eggyの基礎体温表スマホ表示

Eggyの基礎体温表の出力画像

シンプル体温ノート

冒頭のiPhoneのアプリ一覧では「シンプル基礎体温」と表示されているアプリです。
測定し忘れた日を点線で繋ぐか、それとも結ばないかという設定を変えることできます。
画面上ではメモリは縦に長いです。スマホの横画面表示に対応していないようなので、画面では少し見にくいかもしれません。基礎体温表を画像で出力できます。グラフもとても見やすいのでおすすめです。
ただし、月経開始日からの日数の項目がありません。
「今月は排卵が遅いなぁ」
「あれ、そろそろ生理予定日かな?」
といったことは把握しにくいかもしれませんが、見やすいので良いでしょう。

シンプル基礎体温表の出力画像

ルナルナ

ルナルナ体温ノートと連動しています。こちらの方が圧倒的に体温の手入力はしやすいのでセットで使うのが良いのではないかと思います。基礎体温の出力も
ルナルナ体温ノートからとなるようなのです。やはり、計り忘れた日を実線で繋ぐのはやめて欲しいので低評価とします。

ラルーン

体温が入力しにくいと感じたのと、グラフの出力ができないので低評価とします。

ミチル(michiru)

見た目もおしゃれで、グラフも見やすく出力もできます。できれば体調面のメモや服用薬なども一緒に出力できれば、なお良いかと思います。
出力されたグラフはとても見やすいです。対応はiPhoneのみ。

ミチル(michiru)から出力された基礎体温表

ムーン(Moon)、リズム手帳、グラフツール

これらはグラフの出力ができないので低評価とします。
リズム手帳はグラフの出力は課金することで対応するようですが、広告が多すぎる印象がありましたので低評価とします。

カラダのキモチ

見た目はとてもキレイですが、動作が結構重いので体温の手入力は結構大変です。連携できる体温計があるので、それを使用すれば問題ないと思います。基礎体温表の出力にもPDFで対応しており、メールで送信することができます。出力されたグラフはかなり見やすく、体調面の変化も記載できるので申し分ありません。iPhone, Androidの両方に対応しています。

カラダのキモチから出力された基礎体温表

コウノトリ

使いやすいし、見やすいです。グラフは写真で出力可能です。計り忘れた日を線で繋ぐか繋がないか個別に設定できるようです。
アプリでは排卵日付近に男の子と女の子の産み分け予想が表示されますが、正直これはあまりあてにならないかと思います(^^;)

コウノトリから出力される基礎体温表

Femometer

このアプリはかなりキレイで、入力できる項目も豊富です。残念なことにデータ出力は課金しなければならないとのことなので、低評価としました。

キレイドナビ

対応する体温計とも連携でき自動保存が可能です。
ですが体温の手入力がしにくいくく、途中で挫折してしまいました。。アプリと連携して自動で体温を保存できる体温計もあるようです。
また、基礎体温表は出力可能ですが、計り忘れた日も線で結ばれてしまいます。

卵巣美人

初期設定でフリーズしてしまいましたので、無評価とさせていただきます。

ルナノート

比較的動作も軽く入力しやすいですし、経血量なども入力できたので良さそうだと思ったのですが…
グラフを表示してみたところ驚きました…開発者さん、すみません。話になりませんm(_ _)m
付け忘れた日を線で結ぶところか…日付自体カットされ実線で結ばれています。これはいけません。すぐ改善してください。

eggs LAB

無料アプリかと思ったら、最初に課金登録して3ヶ月間は無料というタイプですので、無評価とします。

基礎体温アプリ比較のまとめ

今回はあくまで無料アプリ、無課金での使用ということを前提に16種類の基礎体温アプリを比較してみました。共通して言えることは、婦人体温計と連動できるアプリは動作が重いという印象です。対応する体温計をお使いの方、または使う予定の方は良いのですが…非対応の体温計の場合は最初から連動不可の高速なアプリを選択したほうが良いように思えます。
また、一度使い始めると、他の基礎体温アプリへ引っ越し(データの移動)というのはできません。全て1からの手入力となってしまいます。ですから、アプリ選びは慎重に行ったほうが良いかもしれません。
また、唯一EggyがCSV形式でのデータ出力が可能でしたので、バックアップデータが欲しい、excelなどのPCで管理したい人はこちら一択になるかと思います。

紙媒体の基礎体温表はおそらく、テルモ製の基礎体温表を使われている方が最も多いと思います。紙の場合は色々と自由に書き込めるますが、アプリとなると色々と制限が出てきますので、今後のアップデートに期待する部分も多いと思います。とくに月経時の出血量などの項目は追加すべき項目ではないかと。

基礎体温は妊活だけでなく、細かい体調の変化や服用薬なども記載できたりするので日々の健康を行うのに有効なツールとなります。ずっと継続するのではなく、たまに1ヶ月くらい計測してみるというのもオススメです。

今回調べて驚いたのですが、テルモさんの基礎体温のスマホアプリは無いようですね。。PCソフトはあるのに(^^;)

※2019年3月31日時点でアプリを比較しています。その後仕様が変更されている場合もあるかもしれません。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事