目次
理想的な基礎体温パターン
女性の生理(月経)は、28日前後の周期で循環していきます。生理周期は排卵を境に前半の低温期(卵胞期)と後半の高温期(黄体期)に分けられ、卵胞期は主に卵胞ホルモン(エストロゲン)とが支配し、後半は主に黄体ホルモン(プロゲステロン)が主導しそのサイクルが決まってきます。黄体ホルモンは子宮内膜を柔らかくさせると同時に基礎体温を上げる働きがあるため、生理周期の後半は体温が上がります。月経からしばらく低温期がつづき、低温期から高温期の移行期に排卵がなされ、その後高温期がつづきます。そして再び生理がはじまり次の周期に入ります。基礎体温は低温期と高温期に0.3〜0.5℃の差がある「二相性」となります。
低温期から高温期へとスムーズに移行し(3日以内)、高温期が12日以上持続することが理想的なものです。高温期が16日を超えた場合は妊娠の可能性があります。
体調が悪かったり、何らかの病気があったり、生活習慣などによっては規則的な体温の変化が見られないこともあります。基礎体温は脳下垂体と卵巣から分泌されるホルモンの働きによって上下するので、女性ホルモンの状態を知るきっかけにもなります。
基礎体温表から読み取れること
排卵の有無および排卵の時期が分かります。これはタイミング療法の重要な指針でもあります。排卵日前後の3日間は受精の確率が最も高い時。普通は排卵したら体温がすぐ上がりますが、上がる前にいったん最低体温まで下がる場合もあります。3周期以上基礎体温表をつけてみれば、いつごろ排卵するかはだいたい推定できます。排卵の前後に粘りの強い透明なおりものが増えるのも特徴のひとつです。
また、黄体機能の状態も基礎体温から知ることが出来ます。黄体ホルモンが不足していると、高温期は上昇幅が低く、または持続日数が短く、あるいは波動(体温の上下)が激しくなります。こういう場合は妊娠しにくいし、流産もしやすくなります。
よくみられる妊娠しにくい基礎体温パターンとその対処法
一相性で、高温期がない
無排卵あるいは無月経の場合にみられます。排卵していないため、妊娠は不可能です。月経周期をつくるために、生殖機能をつかさどる「腎」を補強し、血行をよくする「補腎活血法」が基本です。
体温上昇が遅く、段階的に上昇
高温期への以降は3日以上もかかり、排卵障害の可能性が高いです。排卵障害は原因によって対処が違いますが、いずれにせよ、気のめぐりと血の流れを改善する「理気活血法」が必要です。
高温期が短い、または高温期の体温が低い
高温期と低温期の日数が12日未満、あるいは低温期と高温期の差が0.3℃未満で、黄体機能不全に多いです。排卵している場合としていない場合があります。対処法としては補腎温陽、益気養血が主要な方法ですが、この場合は高温期のみの問題ではなく、低温期の卵胞発育異常の延長線にある問題かもしれないので、低温期から補腎して卵胞の発育と排卵を促進する方法が重要です。
高温期が高すぎる
高温期と低温期の差が0.5℃を超える。ホルモン治療後によくみられますが、ホルモンのバランスが悪く、熱しすぎて着床しにくい。うるおしながら、過剰な熱を取り除く「滋陰降火法」が原則です。
上下の幅が大きい
ストレスが多い、またはプロラクチンが高いことが多いです。ストレスを解消し気の巡りをよくする「疏肝理気法」と前述の「補腎活血法」の併用が有効です。
高温期が低い
黄体ホルモンの働きが弱いときや冷えているときに見られるパターンです。場合によっては生理はくるものの排卵していない可能背もあります。
生殖機能の低下があるため「腎」の働きを高めながら体を温める「補陽益精」、血行を良くする「活血」を行うことが重要です。