ページが見つかりませんでした - 宮城県大崎市・仙台・栗原の漢方相談専門店 https://kanpo-kawashima.com 宮城県大崎市・仙台・栗原の漢方相談専門店 Sun, 01 Mar 2020 09:29:42 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.4.15 https://kanpo-kawashima.com/wp-content/uploads/2018/04/cropped-cropped-siteicon-1-32x32.jpg ページが見つかりませんでした - 宮城県大崎市・仙台・栗原の漢方相談専門店 https://kanpo-kawashima.com 32 32 日水清心丸の価格改定、今後の販売状況 https://kanpo-kawashima.com/blog/kanpou-contents/kanpoyaku/%e6%97%a5%e6%b0%b4%e6%b8%85%e5%bf%83%e4%b8%b8%e3%81%ae%e4%be%a1%e6%a0%bc%e6%94%b9%e5%ae%9a%e3%80%81%e4%bb%8a%e5%be%8c%e3%81%ae%e8%b2%a9%e5%a3%b2%e7%8a%b6%e6%b3%81/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e6%2597%25a5%25e6%25b0%25b4%25e6%25b8%2585%25e5%25bf%2583%25e4%25b8%25b8%25e3%2581%25ae%25e4%25be%25a1%25e6%25a0%25bc%25e6%2594%25b9%25e5%25ae%259a%25e3%2580%2581%25e4%25bb%258a%25e5%25be%258c%25e3%2581%25ae%25e8%25b2%25a9%25e5%25a3%25b2%25e7%258a%25b6%25e6%25b3%2581 Sun, 01 Mar 2020 09:28:26 +0000 https://kanpo-kawashima.com/?p=2847 近年、急激に価格が高騰している「牛黄」が含まれる「日水清心丸」が2020年4月より、

1丸 3300円→3800円(税抜き)

に価格が改定されることになりました。

現在、値上げに伴う在庫の安定供給をはかるため、メーカーで出荷規制がかけられており、十分な在庫の確保が出来ない状況となっております。

事実上の製造中止

メーカーからの案内によりますと、出荷制限をかけるのは3月までの注文との案内でしたが、おそらく4月以降も制限が続き、国内在庫が無くなれば出荷停止になると思われます。
理由は「日水清心丸」の中に含まれる動物生薬「羚羊角(レイヨウカク)」。これはサイガレイヨウという動物のツノですが、ワシントン条約の改定で「商業目的のための国際取引禁止」とされたためです。日水清心丸は中国の北京同人堂で製造しているため、従来の処方構成ですと日本への輸出が出来ません。
メーカーに確認したところ、2020年の秋をめどに羚羊角(レイヨウカク)を除いた代替品を発売予定とのことですが、詳細はまだ分かっておりません。

製造しないのに値上げ?

今回の日水清心丸の値上げについて浮に落ちない部分も多いと思います。通常ですと、値上げして再度生産というのは分かりますが…
現在のメーカー在庫が尽きれば終売となるのに、なぜこのタイミングで値上げに踏み切るのか。
当店でもご愛用者様にどのようにご説明しようか困惑しておりますが、何卒ご理解いただけますようお願い申しあげます。

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補中益気湯(ほちゅうえっきとう) https://kanpo-kawashima.com/blog/kanpou-contents/kanpoyaku/hochuuekkitou/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=hochuuekkitou Fri, 12 Apr 2019 11:24:35 +0000 https://kanpo-kawashima.com/?p=2750 慢性的な疲労や倦怠感。食欲不振などでお悩みの方に使われることが多い漢方薬、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)。気虚(エネルギー不足)に使う処方で、その優れた働きは別名:医王湯という名前がついたほど。働きが強い反面、慎重に使わなければいけない方もいる処方です。

補中益気湯の効能・効果と配合生薬

オウギ(黄耆)、カンゾウ(甘草)、ニンジン(人参)、トウキ(当帰)、チンピ(陳皮)、ショウマ(升麻)、サイコ(柴胡)、ビャクジュツ(白朮)またはソウジュツ(蒼朮)の8つの生薬で構成されています。
このため、白朮(ビャクジュツ)が含まれる補中益気湯と蒼朮(そうじゅつ)が含まれる補中益気湯の2種類が存在します。パッケージに記載の効能・効果はどちらでもほぼ同じですが、ビャクジュツとソウジュツの特性を考慮して使い分ける場合もあります。ビャクジュツとソウジュツは胃腸の働きを高めるという点は共通しますが、違う点がいくつかあるので後述します。

ツムラの医療用の補中益気湯

消化機能が衰え、四肢倦怠感著しい虚弱体質者の次の諸症:
夏やせ、病後の体力増強、結核症、食欲不振、胃下垂、感冒、痔、脱肛、子宮下垂、陰萎、半身不随、多汗症

本品7.5g中、下記の割合の混合生薬の乾燥エキス5.0gを含有する。

日局オウギ 4.0g
日局ソウジュツ 4.0g
日局ニンジン 4.0g
日局トウキ 3.0g
日局サイコ 2.0g
日局タイソウ 2.0g
日局チンピ 2.0g
日局カンゾウ 1.5g
日局ショウマ 1.0g
日局ショウキョウ 0.5g

添加物:日局ステアリン酸マグネシウム、日局乳糖水和物

JPS製薬の補中益気湯(第2類医薬品)

体力虚弱で、元気がなく、胃腸のはたらきが衰えて、疲れやすいものの次の諸症:
虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒

12錠中 補中益気湯エキス2.35gを含有しています。

日局ニンジン 2.0g
日局ソウジュツ 2.0g
日局オウギ 2.0g
日局トウキ 1.5g
日局チンピ 1.0g
日局タイソウ 1.0g
日局サイコ 0.5g
日局カンゾウ 0.75g
日局ショウキョウ 0.25g
日局ショウマ 0.25g

上記生薬量に相当する
添加物として、無水ケイ酸、ケイ酸Al、CMC-Ca、トウモロコシデンプン、ステアリン酸Mg、乳糖水和物を含有する。

補中益気湯の効能を中医学で詳しく解説

漢方薬は西洋医学の理論だけで考えると、うまく効果を引き出すことができないことがあります。
補中益気湯の漢方・中医学での効能は
補中益気湯は『体の真ん中の気を益す』という意味を持ちます。体の真ん中はお腹周辺ですので、主に消化器系の働きのことです。漢方・中医学では消化器系を「脾」または「中焦」とも表現します。
消化器は食べ物を消化し、エネルギーの元となる栄養を吸収します。この働きが低下すると、、、

食べ物を受け付けない → 食欲不振
食べても吸収できない → 消化不良

といったことが起こり栄養が不足してしまうため、活動するエネルギー(気)も不足してしまいます。すると抵抗力が落ち虚弱体質や疲れやすいといったことも。

また消化器は冷えると痙攣を起こしたり消化不良、下痢を招いてしまうため、適度に温める必要があります。熱というのもエネルギーですので「気」が不足すると温めることができません。補中益気湯は温める働きがとても強い漢方薬です。

補中益気湯は胃腸の働きが落ちていて、エネルギー不足の状態に使います。疲れや慢性疲労、虚弱体質、病後・術後の衰弱、夏やせなどは理解しやすいですが、胃下垂、感冒、痔、脱肛、子宮下垂、陰萎、多汗症、ねあせなどは理解しにくいですね。

なぜ胃下垂、脱肛、痔、子宮下垂に効くの?

漢方・中医学では胃下垂、脱肛、痔、子宮下垂などの原因の一部を、「中気下陥(お腹の気が下に下がった状態)」と捉えることがあります。これは「気が働く方向性」というものも重視するため。

例えば、胃。飲食物を一時ため込み腸へ送りますが、この場合、胃の「気」は下へ向かっているものと考えます。この気の流れが反対方向の上に向いてしまうと嘔吐などの症状が現れます。また、重力がありますので、各臓器は常に下へ引っ張られている状態です。これを適正な位置に留めておくため筋肉やエネルギー(気)が必要になってきます。消化器系の働きが落ちると、栄養が不足してしまうので、筋肉も痩せてきたり、エネルギー(気)も十分作り出せません。

補中益気湯はエネルギーを補うニンジン(人参)やオウギ(黄耆)、落ちてしまった気を上へ持ち上げる(昇提作用)を持つサイコ(柴胡)やショウマ(升麻)が含まれるため、胃下垂、脱肛、痔、子宮下垂に効果が期待されます。

また、落ちてしまった気を上へ持ち上げる(昇提作用)の応用で、切迫流早産の流産予防などとして有効だという文献も見られます。(とはいえ、妊婦さんは慎重に服用するべきですので、専門家にご相談ください。)

なぜ多汗症に効くの?

補中益気湯を製造しているメーカーはいくつかありますが、効能効果に多汗症やねあせと記載されている処方もあります。注意していただきたいのは全ての多汗、寝汗に効果があるわけではありません。

「気」は汗が出る汗腺のコントロールにも関わっています。気が不足すると汗腺を閉じることができなくなり、汗が漏れやすくなってしまいます。補中益気湯が対応する多汗はこのタイプです。

若い男性に多い、脂物が大好きで胃もたれとも縁がなし、食欲が旺盛で太っていて、常に暑がりで汗をかく。こんな場合は、消化器系はしっかりしており、むしろエネルギー(気)が過剰で汗を書きやすくなっているタイプです。この様な多汗には気を補う補中益気湯は向きません。むしろ悪化させる可能性があります。

また、汗の症状でもねあせに用いる場合は注意が必要です。場合によっては症状が悪化する可能性があります。中医学的に寝汗の原因の多くに陰虚(体の潤い不足)というものがあり、補中益気湯は体を温め乾燥させてしまい、陰虚の傾向を悪化させる心配があります。例外はありますが、汗の症状は昼間の汗の原因は「気の不足」、夜間の就寝中の汗の原因は「潤い(冷却水の不足)」と基本的には分類されます。
補中益気湯は脾胃気虚、消化器系が弱って気(エネルギー)が不足しているタイプに使う処方ですので、寝汗の場合は気を増やす働きと潤いを増やす働きのある、生脈散などが使いやすかったりします。

感冒とありますが、カゼにも効きますか?

補中益気湯は風邪を引きやすい方の体質改善には向くとは思いますが、急性期の風邪には使いません。体を温める働きもあるので、発熱時は避けるべきです。

中医学ではカゼのような感染症の場合は、まず病原菌やウイルスを排除するような処方を使うことを優先します。身体には細菌やウイルスから防衛するための免疫が備わっていますが、感染症は体の免疫が細菌やウイルスの勢いに勝てなかった場合に発症します。補中益気湯のような気(エネルギー)を補う処方を使うと、病原菌の勢いも元気になってしまうと考えていただくとわかりやすいかと思います。カゼの引き始めや感染症の急性期はまずは細菌やウイルスを抑制する、または排除する対処を優先するのが先決です。

補中益気湯に感冒という効能の記載がある場合がありますが、これはカゼを引いてからなかなか改善しない、調子が戻らないといった場合になります。カゼの引き始めの使用は避けましょう。

陰萎とは?男性不妊に効くの?

陰萎とはインポテンツを意味します。補中益気湯にこのような記載があると、一見精力剤のように勘違いされるかもしれませんが、これに関しては補中益気湯はそこまで大きな効果・即効性はありません。仕事で疲れが溜まっていたり、睡眠不足などが続くと「気」が消耗してしまい、陰萎(インポテンツ)につながります。この場合は、気長に服用することで改善が期待できます。

効能・効果に記載はありませんが、補中益気湯は男性不妊で精液検査の結果が悪いといった場合に、運動率を上げるという報告もあるため、男性不妊治療として処方されることもあります。ただし、30代、40代は男性の一生の中でも体力が充実している時期ですので、補中益気湯の対応する気虚に該当しないケースもありますので、この場合はあまり効果は期待できません。
日本人男性はお腹が弱いことが比較的多いため、該当する場合には効果があるのかもしれませんが…(バランスよく食事をしていても、必要な栄養素を吸収できていない可能性があるため)

結核症って記載ありますが、飲めば治りますか?

補中益気湯だけでは危険です。必ず病院で適切な治療を行う必要があります。

結核の症状でもある慢性的な咳・たんなどは体力を消耗させます。このため、気を増やす働きがある補中益気湯は、結核に対してはあくまで体力増強など補助的な位置付けです。
慢性病は長期に続く炎症により「気」が消耗したり、体にとって必要な水分が不足したりします(中医学ではこの状態を陰虚と言います)。

補中益気湯は体を温め乾燥させる働きがあります。このため、体の乾燥症状が強い場合、例えば空咳や血痰、口渇、ほてりなどが強い場合は、他の処方と併用するか、場合によっては服用を控えたほうが良いのか、漢方や中医学に詳しい専門家にうかがうべきです。

白朮か蒼朮か、どっちの補中益気湯が良いの?

まず基本的にビャクジュツ(白朮)が使われている場合でも、ソウジュツ(蒼朮)が使われている場合でも、他の生薬が補中益気湯の特性を保つので、基本的な効能に極端に大きな差はありません。

白朮(ビャクジュツ)の特徴
補気・止汗・安胎
ソウジュツよりも気を増やす力が強く、汗を止める働きも強いです。安胎というのは『妊娠中の胎児の安定』と考えていただければわかりやすいかと。
蒼朮(ソウジュツ)の特徴
袪風除湿・散寒解表
ソウジュツはより体を乾かす働きが強く、胃がポチャポチャして常に水が溜まっているようなタイプ、下痢など消化器系に余分な水分が多い場合はことらが向きます。散寒解表というのは汗を書かせ寒さを和らげると考えると分かりやすいかと思います。

補中益気湯に記載されている効能の範囲はかなり広いです。脾(消化器系)が弱い、疲れやすいといった脾胃気虚といったタイプに用いるのが前提なのですが、上記の生薬の特性から使うならこっちがオススメという場合もあります。

あえて使い分けるなら…
多汗症で使う場合・・・散寒解表(発汗作用のない)白朮(ビャクジュツ)を含有するタイプ
妊娠中・・・安胎が期待できる白朮(ビャクジュツ)を含有するタイプ(※要相談)
水っぽい下痢・・・乾かす働きが強い蒼朮(ソウジュツ)を含むタイプ
風邪を弾きやすい・体力の低下・・・散寒解表(発汗作用のない)白朮(ビャクジュツ)のタイプ

メーカーの分類

補中益気湯に白朮を採用しているか、蒼朮を使用しているかはメーカーによって違います。

白朮を採用する主要メーカー
クラシエ、コタロー、太虎堂、三和、ジュンコウ、東洋薬行、オースギ、太虎堂、テイコク、本草、一元、ジュンコウ、ウチダ、松浦、
ソウジュツ(蒼朮)を採用する主要メーカー
ツムラ、JPS

圧倒的に白朮を採用するメーカーが多いですね…(^^;)

また、補中益気湯をベースに作られた処方もあります。例えばイスクラ産業の「補中丸」
この処方は、補中益気湯からタイソウ(大棗)を除き、ニンジン(人参)の代わりにトウジン(党参)を加えた処方です。補中益気湯の温性(温める働き)が強すぎる、燥性(乾燥させる働きが強すぎる)という難点をやわらげた処方です。

補中益気湯が合わないのは体が乾燥傾向の場合

補中益気湯は強い温性(体を温める)働きを持っています。温めるというのは一見健康には良さそうですが、温めすぎというのもよくありません。何事もバランスが大切です。

そもそも、温めすぎると、、、乾燥します!

そのため、体が乾燥傾向の場合は避けなければなりません。体にとって必要な水分が不足している人を中医学では「陰虚」と言いますが、水分をとれば改善するかというと、そんなに単純なものではないんですね。多かれ少なかれ年齢とともに乾燥が気になったり、シワも増えますが。。。残念ながら、水を飲めば改善するというわけではありません。体の潤いというものは年齢とともに減少しやすくなります。

また、体の潤い(陰)は余計な熱を冷ます冷却水の働きも持っています。このため、陰虚になると場合によっては熱を十分に冷ますことができなくなり、ほてりやすくなります。 陰虚の特徴としては、

  • 舌の色が赤い
  • 舌の苔がない・ひび割れが目立つ
  • ほほ骨のあたりが赤い
  • 手足の裏がほてる
  • のぼせやすい
  • 空咳が気になる
  • 乾燥肌やシワが気になる
  • 便秘気味
  • ねあせをかきやすい
  • 尿量が少なく色が濃い
 比較的ご高齢の方に多いのですが、冬でも素足で平気な方。これは体の冷却水が不足して足が火照っている状態です。冬のひんやりした床がかえって心地よいと感じてしまう。一見「寒さに強い!私は元気!」と無理をしてしまいがちですが、漢方・中医学的には体のバランスが崩れた病気の一歩手前、「未病」の状態なので注意が必要です。
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基礎体温アプリの比較 https://kanpo-kawashima.com/disease/%e4%b8%8d%e5%a6%8a%e3%83%bb%e5%ad%90%e5%ae%9d%e3%83%bb%e7%94%b7%e6%80%a7%e4%b8%8d%e5%a6%8a/%e5%9f%ba%e7%a4%8e%e4%bd%93%e6%b8%a9%e3%82%a2%e3%83%97%e3%83%aa%e3%81%ae%e6%af%94%e8%bc%83/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=%25e5%259f%25ba%25e7%25a4%258e%25e4%25bd%2593%25e6%25b8%25a9%25e3%2582%25a2%25e3%2583%2597%25e3%2583%25aa%25e3%2581%25ae%25e6%25af%2594%25e8%25bc%2583 Sun, 31 Mar 2019 10:00:43 +0000 https://kanpo-kawashima.com/?p=2705
子宝・不妊の漢方相談では、「基礎体温、できれば紙に書いてきてください。」という先生も多いかと思います。その方の経過を把握し、最適な漢方薬を提案するためには、やはり過去の分も含めて基礎体温表はあった方が参考になります。そのため、相談の際に体温表の控え(コピー)の取りやすい紙媒体の基礎体温表を勧めることがあります。

基礎体温は毎日測定するべきものですので、正直毎日紙に記載するというのもかなりの手間です。最近は婦人体温計とスマホアプリが連動し、測定後、いちいち控えなくても自動でスマホアプリに記録してくれるようなものもあるのでとても便利です。

ただ、スマホアプリで表示される基礎体温のグラフの波形はマチマチです。実際に拝見させていただくと、体温の特徴が掴みにくかったりするアプリもしばしばあるように感じています。そこで、無料で使えるスマホの主要アプリをいくつかダウンロード。45日分の基礎体温を入力し、使い勝手や機能などを比較、検討し、不妊カウンセラー目線でオススメの基礎体温アプリを紹介したいと思います。

こんな基準で基礎体温管理アプリを選んでいただくと助かります

グラフが横画面表示に対応しているか

基礎体温を毎日つけていくと、とても長いグラフになります。これを見るとき、スマホの画面の横表示に対応しているアプリだと、とても見やすいです。絶対に備えていなければならない機能ではないのですが、あった方が確実に見やすいと思います。

グラフが見やすいか、メモリは正方形に近いもの

基礎体温表を見るときに、体温が安定しているかというのも大切です。このためにはメモリの形は正方形に近い方がベスト
ホルモンバランスが乱れていたりすると、基礎体温に反映され乱高下が激しくなる場合もあります。そのため、メモリの幅が縦に長すぎたりすると比較的安定している体温でも一見ガタガタに見えてしまい、ホルモンバランスが乱れているように見えてしまうことがあります。

計り忘れた日のグラフが線で結ばれないもの

基礎体温は毎日測るのが理想ですが、旅行に持っていくのを忘れてしまったり、ついつい寝坊して計り忘れてしまったり。忘れることも出てきます。計り忘れた場合はグラフを線で結ばないでください。基礎体温アプリの中には計り忘れた場合、飛ばされずにそのまま直線で結ばれるものもあるので、出来ればそのように表示されるアプリは避け、線で結ばれないもの、結ばれるとしてもせめて点線でというタイプのグラフがありがたいです。
高温期はプロゲステロンという黄体ホルモンの働きで体温が上昇します。このホルモンの分泌が悪かったり、働きが鈍かったりすると排卵後にスムーズに体温が上昇しなかったり、高温期の途中で体温が急に下がったりすることがあります。このため、計り忘れたからといって実線で結ばれてしまうと一見、基礎体温が安定しているように見えてしまうことがあるため、忘れた場合はそのまま飛ばしていただいた方がありがたいです。

印刷できる、またはメールに添付して送信できる機能があるか

例えば不妊や月経不順など月経周期に絡む不調がある場合。将来的に病院や漢方薬局などに相談する可能性がある場合は、基礎体温表をドクターやカウンセラーに提出できる機能があった方が良いです。アプリによっては無料で機能を備えているもの、有料で機能を追加できるもの、未対応のものがあります。
スマホ表示の基礎体温でも良いのですが、体調は常に変化します。そのため、過去の基礎体温表と比較したほうが改善策を提案しやすいこともあるためです。

オススメのアプリ

カラダのキモチ、コウノトリ、ミチル(michiru)、Eggy、シンプル基礎体温が上記条件にマッチする機能が多くオススメです。ダウンロード数が多いと思われるルナルナ系は計測し忘れた場合も線で結ばれてしまうため、除外しました。

基礎体温アプリの使用感

ルナルナ体温ノート

グラフはとても見やすいのですが体温を保存するのに時間がかかります。あまりに時間がかかるので、入力は途中でやめてしまいました。婦人体温計と連動して自動保存できる機能があるので、対応する体温計を使う場合は利用しやすいのかもしれません。
グラフは写真として保存でき、メールなどで送ることが可能です。
四日分入力しないと線が惹かれないのですが、三日以下の場合は実線で結ばれてしまうのが惜しいです。

Eggy

入力しやすく使いやすいです。45日分の体温もサクサク入力できました。無料で基礎体温表の出力機能がついてるのがありがたいです。しかも写真やPDF両方の保存に対応しています。wifiを経由して直接印刷することも、データーを添付してメール送信することも可能。ただ、出力データのメモリの幅が、若干縦に長い感じがしますが、この程度なら問題ありません。

Eggyの基礎体温表スマホ表示

Eggyの基礎体温表の出力画像

シンプル体温ノート

冒頭のiPhoneのアプリ一覧では「シンプル基礎体温」と表示されているアプリです。
測定し忘れた日を点線で繋ぐか、それとも結ばないかという設定を変えることできます。
画面上ではメモリは縦に長いです。スマホの横画面表示に対応していないようなので、画面では少し見にくいかもしれません。基礎体温表を画像で出力できます。グラフもとても見やすいのでおすすめです。
ただし、月経開始日からの日数の項目がありません。
「今月は排卵が遅いなぁ」
「あれ、そろそろ生理予定日かな?」
といったことは把握しにくいかもしれませんが、見やすいので良いでしょう。

シンプル基礎体温表の出力画像

ルナルナ

ルナルナ体温ノートと連動しています。こちらの方が圧倒的に体温の手入力はしやすいのでセットで使うのが良いのではないかと思います。基礎体温の出力も
ルナルナ体温ノートからとなるようなのです。やはり、計り忘れた日を実線で繋ぐのはやめて欲しいので低評価とします。

ラルーン

体温が入力しにくいと感じたのと、グラフの出力ができないので低評価とします。

ミチル(michiru)

見た目もおしゃれで、グラフも見やすく出力もできます。できれば体調面のメモや服用薬なども一緒に出力できれば、なお良いかと思います。
出力されたグラフはとても見やすいです。対応はiPhoneのみ。

ミチル(michiru)から出力された基礎体温表

ムーン(Moon)、リズム手帳、グラフツール

これらはグラフの出力ができないので低評価とします。
リズム手帳はグラフの出力は課金することで対応するようですが、広告が多すぎる印象がありましたので低評価とします。

カラダのキモチ

見た目はとてもキレイですが、動作が結構重いので体温の手入力は結構大変です。連携できる体温計があるので、それを使用すれば問題ないと思います。基礎体温表の出力にもPDFで対応しており、メールで送信することができます。出力されたグラフはかなり見やすく、体調面の変化も記載できるので申し分ありません。iPhone, Androidの両方に対応しています。

カラダのキモチから出力された基礎体温表

コウノトリ

使いやすいし、見やすいです。グラフは写真で出力可能です。計り忘れた日を線で繋ぐか繋がないか個別に設定できるようです。
アプリでは排卵日付近に男の子と女の子の産み分け予想が表示されますが、正直これはあまりあてにならないかと思います(^^;)

コウノトリから出力される基礎体温表

Femometer

このアプリはかなりキレイで、入力できる項目も豊富です。残念なことにデータ出力は課金しなければならないとのことなので、低評価としました。

キレイドナビ

対応する体温計とも連携でき自動保存が可能です。
ですが体温の手入力がしにくいくく、途中で挫折してしまいました。。アプリと連携して自動で体温を保存できる体温計もあるようです。
また、基礎体温表は出力可能ですが、計り忘れた日も線で結ばれてしまいます。

卵巣美人

初期設定でフリーズしてしまいましたので、無評価とさせていただきます。

ルナノート

比較的動作も軽く入力しやすいですし、経血量なども入力できたので良さそうだと思ったのですが…
グラフを表示してみたところ驚きました…開発者さん、すみません。話になりませんm(_ _)m
付け忘れた日を線で結ぶところか…日付自体カットされ実線で結ばれています。これはいけません。すぐ改善してください。

eggs LAB

無料アプリかと思ったら、最初に課金登録して3ヶ月間は無料というタイプですので、無評価とします。

基礎体温アプリ比較のまとめ

今回はあくまで無料アプリ、無課金での使用ということを前提に16種類の基礎体温アプリを比較してみました。共通して言えることは、婦人体温計と連動できるアプリは動作が重いという印象です。対応する体温計をお使いの方、または使う予定の方は良いのですが…非対応の体温計の場合は最初から連動不可の高速なアプリを選択したほうが良いように思えます。
また、一度使い始めると、他の基礎体温アプリへ引っ越し(データの移動)というのはできません。全て1からの手入力となってしまいます。ですから、アプリ選びは慎重に行ったほうが良いかもしれません。
また、唯一EggyがCSV形式でのデータ出力が可能でしたので、バックアップデータが欲しい、excelなどのPCで管理したい人はこちら一択になるかと思います。

紙媒体の基礎体温表はおそらく、テルモ製の基礎体温表を使われている方が最も多いと思います。紙の場合は色々と自由に書き込めるますが、アプリとなると色々と制限が出てきますので、今後のアップデートに期待する部分も多いと思います。とくに月経時の出血量などの項目は追加すべき項目ではないかと。

基礎体温は妊活だけでなく、細かい体調の変化や服用薬なども記載できたりするので日々の健康を行うのに有効なツールとなります。ずっと継続するのではなく、たまに1ヶ月くらい計測してみるというのもオススメです。

今回調べて驚いたのですが、テルモさんの基礎体温のスマホアプリは無いようですね。。PCソフトはあるのに(^^;)

※2019年3月31日時点でアプリを比較しています。その後仕様が変更されている場合もあるかもしれません。

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冷え性に加味逍遥散?逍遥散(逍遥丸)とのちがい https://kanpo-kawashima.com/blog/kanpou-contents/kanpoyaku/shoyogan_kamishoyogan_hikaku/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=shoyogan_kamishoyogan_hikaku Thu, 27 Dec 2018 09:32:42 +0000 https://kanpo-kawashima.com/?p=2661 加味逍遥散(かみしょうようさん)は、イライラしたり落ち込んだり、なんだかいつも不安感を感じる、こんな時によく使われる漢方薬です。病院の保険診療でも処方することができるため、比較的ポピュラーな漢方薬ですね。とくに、更年期障害や月経前症候群(PMS)、自律神経のトラブルで服用される方が多いです。
難しい感じが使われている処方ですが、「逍遥(しょうよう)」とは思い気のまま自由にフルフラ散歩するという意味で、リラックスするというイメージです。
「加味逍遥散」の類似処方に「逍遥丸(しょうようがん)」がありますが、記載される効能効果はほぼ同じ。(逍遥散は顆粒、逍遥丸は丸薬の違いです。)
逍遥丸をお使いの方の中に、
「加味逍遥散じゃダメですか?」
「冷え性に聞くと聞いたんですが?」という質問もよくされますのでご説明します。

加味逍遥散は逍遥丸+2生薬が加わった漢方薬

逍遥丸は加味逍遥散のベースの処方です。逍遥丸に2つの生薬が加わえられたものが加味逍遥散。

逍遥丸の構成生薬

  • 芍薬(シャクヤク)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 当帰(トウキ)
  • 柴胡(サイコ)
  • 白朮(ビャクジュツ)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 薄荷(ハッカ)
加味逍遥散の構成生薬

  • 芍薬(シャクヤク)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 当帰(トウキ)
  • 柴胡(サイコ)
  • 白朮(ビャクジュツ)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 薄荷(ハッカ)

  • 牡丹皮(ボタンピ)
  • 山梔子(サンシシ)

加味逍遥散のベースは逍遥丸と同じですが、ボタンピとサンシシという二つの生薬が加わります。このため、加味逍遥散は牡丹皮(ボタンピ)の「丹」、山梔子(サンシシ)の「梔」をとり、丹梔逍遥散(たんししょうようさん)とも呼ばれます。

加味逍遥散と逍遥丸の効能効果

加味逍遥散

体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症: 冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症

逍遥丸

体力中等度以下で、肩がこり、疲れやすく精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症: 冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症、不眠症

効能効果はほとんど同じですが、ポイントは加味逍遥散の「のぼせ感があり」 という箇所です。のぼせに対応させるには、単純に冷やす必要があります。

逍遥丸にボタンピとサンシシという2つの生薬が加わえられたものが加味逍遥散。
ベースとなる逍遥丸の働きは、漢方・中医学的には「肝気欝滞・養血健脾」というものです。「五臓の肝の気の流れが停滞している」、「消化器系がうまく働かず血やエネルギーを作り出せない」といった状態に使います。症状では、イライラしやすい、なぜか気分が落ち込む、睡眠障害、ストレス等の影響を受けやすくいつまでもクヨクヨ思い悩んでしまうといったもの。このような感じです。

逍遥丸はストレスなどから肝(自律神経系やホルモンバランス)が乱れないように守りたいといった時に使えます。ストレスなどで自立神経やホルモンバランスが乱れると、じつ様々な症状が現れますので、逍遥散(逍遥丸)は意外と幅広く使うことが可能です。
加味逍遥散は、上記の逍遥散に熱を冷ます作用をもつ生薬、ボタンピとサンシシが加わったものです。熱を冷ます生薬は体を冷やすので、冷え性には向かない処方と言えます。

漢方・中医学的には加味逍遥散の効能は「肝気欝滞・養血健脾 + 清熱瀉肝」となります。清熱瀉肝は肝にたまった熱を取り除くというものですが、「高ぶった交感神経を抑える」と考えていただければわかりやすいかと。

冷え性にも色々な原因があるので、加味逍遥散も冷え性に使用するケースがあるのですが、加味逍遥散に「冷え性」の効能があるから。。。という感覚で使ってしまうと、あまり効果はえられません。

加味逍遥散に含まれる山梔子(サンシシ)の使用上の注意

近年になって、山梔子(サンシシ)含有の漢方薬に厚生労働省より注意喚起が追記されました。
それは、腸間膜静脈硬化症。長期服用により腸間膜の静脈が石灰化して血流が悪くなるといったものです。症状としては、腹痛や下痢、便秘、お腹の膨満感などが現れますのでご注意ください。

漢方・中医学では漢方薬は「証」にあっているかで用いるべきかどうかを判断します。漢方・中医学の使用上の注意として、もともと

苦寒で脾腸を損傷しやすく、緩瀉の効能を持つので、脾虚の下痢傾向のものには用いない。[注意臨床のための中薬学 神戸中医学研究会 編著]

といった記載があります。
体を冷やし、胃腸の負担になりやすい。軽い下剤のような働きがあるので、胃腸系統が弱い人に使ってはダメですよ。といった意味合いです(^^;
逍遥散(逍遥丸)はサンシシも含まれてないので長期服用でもより安心です。

どう使い分けるの?

加味逍遥散と逍遥散(逍遥丸)、共通して言えるのは「肝の気の流れが悪いとき」に使います。違いは熱があるかどうか。

加味逍遥散は清熱作用(カラダの熱を除く)を持ちます。女性の更年期障害などに多い、何もしてないのに急に暑くなって汗が吹き出るようなホットフラッシュやのぼせ感が強い場合は加味逍遥散がオススメです。

のぼせやホットフラッシュが落ち着き、調子が良いので継続したいという場合

漢方・中医学でいうのぼせやホットフラッシュの原因の多くに、「陰虚」という体の潤い不足があります。カラダの冷却水が不足したために余計な熱が生まれてしまい、これがのぼせやホットフラッシュを引き起こしている状態です。加味逍遥散は根本の「潤い不足」を改善しません。
カラダの潤いを補うには「補陰」という方法が必要です。
この場合は、

逍遥丸(逍遥散)+「補陰薬など」

に切り替えた方が良いと思います。
症状も調子が良いとき、悪い時と波があります。

調子の良い時は逍遥丸
酷い時は加味逍遥散

といった使い方がオススメです。

追記:逍遥丸(しょうようがん)が廃盤、逍遥顆粒へリニューアルします

逍遥丸が廃盤になることなってしまいました。
剤型が丸剤から顆粒に代わり『逍遥顆粒』としてリニューアルするそうです。

逍遥丸は、生薬から抽出したエキスをトウモロコシのデンプンやハチミツなどで練り合わせ丸めた丸剤という剤型です。服用する量は12丸を1日3回と、初めて服用する方は少し驚いてしまうような量です。

こんな服用量なので、「飲むのが大変」と言ったお声も多いです(^^;)

そのせいか体調が回復しても、もともと職場や学校などでストレスが多いせいか、イライラしやすい、落ち込みやすいといった方には、
量を半分くらいにして飲んでも体調維持できてます!
普段は半分くらいですが、ストレス感じた時だけしっかり飲んでます!

量を半分くらいにして飲んでも体調維持できてます!
普段は半分くらいですが、ストレス感じた時だけしっかり飲んでます!

という方も結構いるような印象ですね。。

丸剤は、生薬の味や香りが苦手な人でも抵抗なく服用しやすいということと、お子さんなどに服用させる場合、量を調節しやすいという特徴があります。(※逍遥丸の服用は15歳以上からです)

服用量は多いですが、なんだかんだ評判良かった逍遥丸は、今回、一時廃盤になってしまいました。
というのも、メーカー(イスクラ産業)の方でも安定供給がなかなか難しいらしく、頻繁に出荷規制がかかったりしていたのですが。さすがに頻繁に供給が止まるので、安定供給可能な顆粒剤へ切り替えるとのことです。一時というのも、安定供給のめどが立たないとのことで、いつ再開できるようになるかは不明とのことです。

新商品、逍遥顆粒

逍遥顆粒。逍遥丸とほぼ同じ色使い、馴染みのあるパッケージなので新商品という感じが全くしません。。

効能・効果、含有する生薬量は逍遥丸と全く同じですが、丸剤から顆粒に切り替わったため、賦形剤がトウモロコシデンプンと乳糖に変わりました。 また、逍遥丸は15歳以上の用法・容量でしたが、逍遥顆粒は15歳未満の方でも服用できるようになりました。(年齢によって服用量は変わりますので、以下参照)

用法・用量

成人(15歳以上) 1回1包
15歳未満7歳以上 1回2/3包
7歳未満4歳以上 1回1/2包
4歳未満2歳以上 1回1/3包
2歳未満 1回1/4包

1日3回、食間又は空腹時に服用してください。

これにより、思春期の月経不順、学校生活や試験・受験期のストレスによる精神神経症状にも使いやすくなりました。
顆粒なので、2/3、1/2包など取り分けるのは少し面倒ですが。

逍遥顆粒は少し大きめの顆粒です。そのまま口に入れるとザラザラした感じが気になるかもしれません。この場合はお湯に溶かして服用していただいて大丈夫です。

当店では丸剤の逍遥丸は半年程度の在庫は確保しておりますが、いずれ欠品となります。
切り替え前に丸剤をお使いの方で、顆粒を試してみたいという場合は店頭でご案内しておりますので、お声がけください。

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艶麗丹(えんれいたん) https://kanpo-kawashima.com/blog/kanpou-contents/kanpoyaku/enreitan/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=enreitan Sun, 18 Nov 2018 10:10:03 +0000 https://kanpo-kawashima.com/?p=2559 漢方メーカー、イスクラ産業から発売された変わった健康食品「艶麗丹(えんれいたん)」を紹介します。
何が変わっているかというと、哈士蟆油(ハシマユと呼びます)という高級食材が含まれています。中国ではツバメの巣と並ぶ高級食材で、コラーゲン、ムコ多糖類が多いためゼリーのような食感です。

艶麗丹は健康食品ですが、中医学的には同じような働きを持つものに『麦味地黄丸(製品名:八仙丸)』がありますがこちらは医薬品です。艶麗丹と八仙丸の違いについても触れていきたいと思います。

艶麗丹の成分

商品名 艶麗丹(えんれいたん)
原材料 マカダミアナッツ油、ゼラチン、西洋人参エキス末、哈士蟆油微粉末(カエルの輸卵管)、銀耳エキス末(銀耳エキス、デキストリン)、真珠微粉末、亜鉛酵母、グリセリン、トコトリエノール、ミツロウ、乳化剤、着色料(酸化チタン)
摂取方法 1日4粒〜8粒を目安に
販売メーカー イスクラ産業株式会社
価格 16,000円(税抜)/2粒×60包

トコトリエノール(ビタミンE)、皮膚粘膜の機能維持に関わる亜鉛も含まれているので、なんとなく美容に良さそうですが。パッと見意味がわからない製品ですね(^^;
漢方メーカーの製品ですので漢方・中医学的な解説をいたします。

漢方・中医学的な考察

艶麗丹の含まれる成分を中医学的で見ると「肺腎陰虚」という状態に用いる構成ということになります。「滋腎潤肺」と言い、五臓の「肺」と「腎」に栄養や潤いを与えるという働きです。

漢方・中医学の「肺」とは
五臓の肺は呼吸器の他に皮膚や粘膜なども含まれます。乾燥すると皮膚もカサカサになり空咳なども起こりますが、乾燥に弱い臓器というのが「肺」の特徴です。呼吸器・皮膚・粘膜を適度に潤し、細菌、ウイルス、アレルゲンなどを体内に入れないようなバリア機能を持ち、免疫にも関わる臓器です。
息切れなどで空気がしっかり吸えないと、酸素が足りなくなり疲れやすくなりますね。肺は活動する力にも大きく関わります。これは漢方・中医学の「気」の働きに相当します。
漢方・中医学の「腎」とは
五臓の「腎」は腎臓だけでなく膀胱なども含めた泌尿器全般、生殖器なども含まれます。また、成長や老化、免疫にも関わり、体の潤いや温める働きを保つのも腎と深く関係します。
このことから、老化現象や子供の成長が遅いなどの発育遅延も、漢方では腎の機能低下として『腎虚』と表現します。また、「腎」は生殖にも関わるため、不妊などの生殖能力を高める対策としても使います。

ざっくりですが中医学の「肺」と「腎」は上記のような働きになります。

体の中の熱(陽)と水(飲)はバランスが大切で、どちらかが不足したり過剰になったりしてもよくありません。「肺腎陰虚」というのは体の中の潤いが不足したような状態で、いわば冷却水が不足したような状態。すると余計な熱が体に溜まってしまいほてりや乾燥症状が生まれます。肺腎陰虚とはこの乾燥やほてりの症状が「肺」→皮膚、粘膜、呼吸器などに現れてくる状態です。

配合成分の特徴を見ていきましょう。

哈士蟆油(ハシマユ)

この正体はカエル(中国林蛙)の輸卵管です。両生類と哺乳類は違うので卵管ではないです。哺乳類でいう子宮、卵管、膣のあたりをさします。別名、雪蛤(せつごう)、ハスモなどとも呼びます。気持ち悪そうですが、無味無臭。中国では薬膳としてツバメの巣と並ぶ高級食材で、美容系の薬膳スイーツとして人気です。ムコ多糖類が多いためゼリーのような食感です。中医学では「補腎益精・養陰潤肺」という働きを持ちます。意味合いとしては「肺」と「腎」に潤いと栄養を与える+アンチエイジングという感じです。呼吸器・皮膚・粘膜に潤いを与えるというのはこのハシマユの働きです。

銀耳(ギンジ)

これは白キクラゲのことです。黒キクラゲの方が馴染深いかもしれません。気をつけているとサラダバーなどでよく見かけます。
中医学では色の黒いものは「腎」、色の白いものは「肺」に作用するとされ銀耳も肺に潤いを与えるものです。

珍珠(チンジュ)

装飾品としても使われる真珠。この真珠の核を除いた部分を粉にしたものです。働きとしては安神作用、精神を安定させ、リラックスさせる効果に近い働きがあります。この真珠の粉は化粧品にも配合されることがありますが、古来から肌を美しくする働きがあるとして使われてきました。

西洋人参(セイヨウニンジン)

漢方で人参と言えば「朝鮮人参」が有名ですね。両方とも滋養強壮の働きを持っていますが、朝鮮人参は体を温める働きが強く体を乾燥させる働きも強い生薬です。西洋人参は体に潤いを与える働きに優れます。

肺腎陰虚の症状を現代でいうと

まずは一般的な老化現象かな…いう症状です。

物忘れ、耳鳴りや難聴、歯がもろい、腰痛、足腰が弱い、疲れやすい、脱毛、白髪、精力の減退(不妊)

このような症状のほか、ほてりや乾燥、皮膚や呼吸器系の症状が出てきます。

皮膚・粘膜・呼吸器系の乾燥症状鼻炎、空咳、喘息、息切れ

アトピー性皮膚炎などの皮膚トラブル湿疹、かゆみ、赤み

漢方薬ではこのような「肺腎陰虚」に対応する場合、麦味地黄丸(八仙丸)という処方を用います。

艶麗丹と八仙丸の違い

中医学的には艶麗丹も八仙丸も肺腎陰虚に使う処方ですが、艶麗丹は健康食品なので、効能効果はありません。八仙丸の効能効果は下記のようになります。

体力中等度以下で、疲れやすく胃腸障害がなく、ときにせき、口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ、息切れ、からぜき

皮膚疾患の記載はありませんが、前述の「肺腎陰虚」の状態に使います。二つの中医学での違いは以下のようになります。

胃腸が弱くても使える

八仙丸の効能・効果の冒頭に「〜〜胃腸障害がなく〜〜」とあります。八仙丸は胃腸負担がかかりやすい生薬が含まれているため、下痢しやすい方は使いにくかったりします。その点、艶麗丹は胃腸に負担がかかる心配はないので使えます。

補う働きは八仙丸より強い?

体の中の潤い「陰」というのも、実は色々種類があり、奥深〜い元気の源を「精」と呼びます。動物性生薬はこの「精」を補うことが植物性生薬よりはるかに強くなります。 八仙丸は植物性の生薬のみ。艶麗丹は動物性の哈士蟆油(ハシマユ)が含まれるので、「陰」を補う力はこちらの方が強いかなと思います。

 アンチエイジング的な働きを持つ補腎薬。温める力を高める「補腎陽」に働くものと、潤いを与える「補腎陰」に働くものに分かれますが。両方とも胃腸に負担かかる処方が比較的多いです。温める力を高める「補腎陽」に働く処方で、胃腸に負担がかからないものは「参馬補腎丸(じんばほじんがん)」などがあります。
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日水清心丸(にっすいせいしんがん)の紹介 https://kanpo-kawashima.com/blog/kanpou-contents/kanpoyaku/nissui-seisingan/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=nissui-seisingan Fri, 26 Oct 2018 06:56:20 +0000 https://kanpo-kawashima.com/?p=2187 日水清心丸とは

肉体疲労だけでなく精神疲労でも人気の日水清心丸。かつてダウンタウンDXでEXILEメンバー飲んでいるということで話題になった漢方薬です。
価格は1丸、3300円!とても高価な漢方薬です。
漢方薬に馴染みのない方は驚くことが多いのですが、剤型は約1.5cmの大きな飴玉のような金色の丸い玉です。大蜜丸と言います。硬さはキャラメル程度ですが、これが金箔でコーティングされています。漢方薬は煎じるというイメージが強いですが、生薬の粉末をハチミツなどで練り固めたものがこのような剤型になります。

様々なメーカーで似たような名称の「〇〇清心丸」があります。これらは名前こそ似ていますが、中身が違うことも結構多いんですね。各メーカー「清心丸」としての特徴は「牛黄」が含まれることですが、本来牛黄は疲労回復に使う生薬ではありません。他の生薬とうまく組み合わせられることで、このような効果を発揮します。

記載されている効能効果が全く同じ処方で、イスクラ牛黄清心丸があります。こちらは疲労回復よりも別の働き、開竅作用(かいきょう作用)を狙った処方ですので、単独服用はちょっとしにくいかなという処方です。清心丸の名称を持つ漢方薬はいくつかありますが、配合されている生薬の数は約10種類〜30種類くらいのものまで様々です。配合される生薬も組み合わせもかなり違います。
まず「日水清心丸」の製品の特徴を見て見ましょう。

日水清心丸は,中国の北宋時代の書物「太平恵民和剤局方」に収載されている「牛黄清心丸」が原典です。「牛黄清心丸」は,長い年月をかけ処方が改良され,皇帝から庶民へ広く使われるようになりました。日水清心丸は貴重な牛黄をはじめ人参,当帰など各種生薬を配合し,金箔をほどこした丸剤です。中国の伝統的な製法を活かしながら近代的品質管理のもとで製造された医薬品です。
となっています。
正確には「牛黄清心丸」は中国の北宗の時代(1107年〜1110年)、「太平恵民和剤局方」に収載された「牛黄清心圓」がという名称で掲載されたことが最初です。
この時の構成生薬は約30種類。この時の効能の現代解釈は、『脳卒中にともなう半身不随や言語障害、高熱をともなう感染症などの急性熱病、熱中症、意識障害やけいれん、精神不安、不眠、頭重、自律神経失調症、ヒステリー、ひきつけ、狂乱など』に使われる処方でした。生薬の牛黄は漢方では開竅薬(かいきょうやく)というものに分類され、上記のような時に使われます。開竅とは頭をスッキリさせ、自律神経などをととのえると言った働きが近いです。
この時の処方は、朱砂(しゅしゃ)、雄黄(ゆうおう)といった水銀やヒ素が主成分の生薬も含まれています。これらは神経毒ですので長期服用はできません。脳卒中などのような場合にあくまで救急的に用いられてきた処方となります。 「太平恵民和剤局方」に収載された「牛黄清心圓」はその後各地に伝わり、この「牛黄清心圓(ごおうせいしんえん)」をベースに改変された加減方が存在します。1960年代の朝鮮の医書、東医宝鑑に「牛黄清心元」、痘疹世医心方には「牛黄清心丸」として収載されています。元々は「太平恵民和剤局方」が原点ですが、各地の情勢や人種に合わせて改変された様々な清心丸があります。現代では当時のような毒物は含まれてないですが、効能としては脳卒中にともなう症状を改善する開竅作用を強調したり、日常の健康維持に合わせて滋養強壮薬として改変されたものなど様々です。
原典の生薬構成は約30種類でしたが、日水清心丸は12種類+ハチミツ+金箔の計14種類の構成です。(ハチミツや金箔も生薬です)
他の清心丸にも共通することですが、国内で発売されているものであれば、日本の医薬品基準をクリアしていますので、もちろん水銀やヒ素といったものも含まれません。

清心丸は何に効きますか?

日水清心丸の記載の効能効果

次の場合の滋養強壮:虚弱体質,肉体疲労,病中病後,胃腸虚弱,食欲不振
となっています。
日水清心丸はなんといっても疲労にはオススメです。牛黄は高価な栄養ドリンクなどにも含まれていますが、その配合量が比較にならないほど清心丸には含まれており、その分即効性も高いです。牛黄は幅広い抗酸化作用を持っているので、肉体疲労だけでなく、ストレスなどによる脳疲労のような場合でも評判が良い漢方薬です。とはいえ高額なので、個人的には登山やゴルフ、長距離のドライブや旅行などに一丸持ち歩いていると心強い処方だと思います。

頭をスッキリさせる開竅薬はとても即効性が高いものが多いのですが、漢方では開竅薬だけを使用すると『気』を消耗を引き起こすとされます。
記載されている効能効果が全く同じ処方で、イスクラ牛黄清心丸がありますが、こちらは開竅作用を狙った処方ですので、単独服用はちょっとしにくいかなという処方です。
清心丸の名称を持つ漢方薬はいくつかありますが、配合されている生薬の数は約10種類〜30種類くらいのものまで様々です。配合される生薬も組み合わせかなり違います。

清心丸に含まれる牛黄の特徴、開竅(かいきょう)とは?

開竅というのは穴を開くという意味合いです。そうすることで、体の気血水のめぐりをよくします。意識障害、精神障害などの原因を漢方では下記のように捉えることがあります。

「心」の臓器にある穴がなんらかの原因で塞がってしまったのが原因

これに対応するのが「開竅」

人の精神や意識は、「心」の臓器にある穴を行ったり来たりしているというイメージです。この穴を開けることで気血水の巡りを改善しようというのが開竅薬の働きです。体の巡りをよくすると言うとすごく良いイメージを持ちそうですが、巡りをよくするというのは同時に気血を消耗します。開竅という働きは、巡らせる働きが非常に強いので、少なからず気血の消耗を起こし、逆に疲れやすくなってしまうということも。このため、日水清心丸には『気』や『血』を補う生薬、消化器系の働きを高めエネルギーの産生量を高める生薬などが加わっています。本来の牛黄清心丸と比較すると、開竅の働きは弱まりますが、体を補う生薬もふんだんに含まれているため、滋養強壮目的で日常的に服用できる構成になっています。

日水清心丸の服用の仕方

清心丸の開封の仕方

清心丸はこのような丸いプラスチックをロウで覆った形状をしています。まずはこれを割らないといけないのですが、少しコツがいります。プラスチックに割れ目がありますのでこのラインを押し潰すようにすると割ることができます。意外と力が必要な場合もあるので、手のひらで押し潰すようにして開けます。押し潰す向きを間違えるとうまく開きません。丸い形なので、うっかり滑って手首などを痛めないように注意する必要があります。

うまく開けられない場合は、分厚い本のようなものを挟んで押し潰すとラクに開けられます。金色の文字が刻印されていますが、ここを押しても割れませんのでご注意を(^-^;
冬などの寒い時期はロウの皮膜が硬くなっているので、開封される場合はこたつなどで少し温めて柔らかくしてから割るというのもオススメです。

服用の仕方

大きさが2cmとかなり大きいので、通常の薬のようにそのまま丸呑みはしないでください。
(冗談のように聞こえますが、たまに本当に丸呑みする方もいらっしゃるので記載します)
硬さはキャラメル程度ですので、同じように口の中で溶かしても良いですし、噛み砕いても構いません。少量ずつ分割して服用する場合は、清心丸を直接かじるより、包丁などであらかじめ切っておいたほうが衛生的かと思います。

清心丸が高額な理由

どの清心丸も高額なのはなんといっても主薬となる牛黄の価格。牛黄は牛の胆のうにできる結石で天然のものはなかなか手に入りません。もともと高価な生薬なのですが、近年急激に価格が高騰しています。牛黄の主な原産地は南米なのですが、牛の飼育数が急激に減少していることが原因です。経営が牛の牧場からトウモロコシ畑に転向しているそうです。近年注目されているバイオエネルギー推進の兼ね合いです(^-^;
このため、各メーカー、牛黄の含まれる製剤をここ4〜5年の間に値上げするところが目立っています。

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葛根湯の正しい使い方とカゼに用いる漢方薬 https://kanpo-kawashima.com/disease/%e3%81%9d%e3%81%ae%e4%bb%96/howto-use-kakkonto/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=howto-use-kakkonto Sat, 20 Oct 2018 09:52:09 +0000 https://kanpo-kawashima.com/?p=2158 葛根湯といえば、もしかすると日本で一番有名で身近な漢方薬かもしれません。カゼ薬なのに眠くならないというのも少ないですからありがたい処方です。漢方薬は副作用はないということで、気軽に利用する方も多いですが、これは大きな間違い。風邪や肩こりなどに使用されていますが、使い方を間違えるとかえって悪化してしまう場合もあるので注意が必要です。
カゼといえばまずは葛根湯という使い方もしている方も多いと思いますが、カゼにもいくつか種類があり、葛根湯は風寒表証という場合に用いる漢方薬です。
カゼには、どんなタイプがあるか、葛根湯はどんな時に用いると効果的か、葛根湯以外の風邪薬はどんなものがあるかをご説明します。

風邪の原因

現代医学ではカゼの原因はほとんどがウイルス、まれに細菌性のものがあります。
風邪を引くと病院に行って「抗生物質」を処方してもらうというのがありましたが、近年は、病院で抗生物質が処方される割合が減ってきています。
それは風邪の原因の多くはウイルスなので、これに抗生物質は効果がないため。また、風邪に有効な抗ウイルス剤もありません。
風邪を引いた時の1番の対処法はゆっくり休むことが一番です。風邪の症状のツライ症状を薬で和らげて、自分の免疫力で克服するしかありません。

また、周囲の人と同じように行動していたのにも関わらず、他の人は平気なのに自分だけ風邪を引いてしまったという経験がある方も多いです。
これは、自分の免疫力が関係します。疲労やストレスなどで免疫力が低下すると、ウイルスに対抗することができなくなり、感染してしまった結果です。

カゼは漢字で『風邪』と書きますが、これは風とともにやってきた邪気というもので、漢方の風邪(ふうじゃ)に由来します。風がウイルスのような、病気を引き起こすなんらかの原因を運んできたために感染してしまうという意味です。風は一部にとどまらずあちこち移動するという特徴もあります。

カゼの原因を漢方で考えると

もともと自然界に当たり前のように存在している自然条件、寒(寒さ、冷え)・熱(暑さ)・湿(湿気)・燥(乾燥)など。本来は悪いものではありませんが、自分の体調が悪かったり、過度に冷えたりした場合などに、体に悪影響を与える状態なったもの、漢方では、寒邪、熱邪、湿邪、燥邪と表現します。(厳密には暑邪もありますが、これは熱邪+湿邪のようなものですので割愛させていただきます)
カゼの原因は風がこのような邪気を連れてきたという考えから、風寒、風熱、風湿などが主な原因です。
燥邪は、カゼを引いたのをきっかけに何週間も咳だけ残ってしまうなど、カゼの後期に現れやすいです。
また、慢性的に免疫力が低下している状態が続いていると何度もカゼを繰り返しひきやすくなります。この場合は「衛気虚」と言い、体表のバリア機能が低下してる状態です。

カゼの症状の特徴に合わせ、漢方・中医学ではこの5つの邪気の関連を考え処方を選択していきます。

カゼの特徴ごとに分類すると

初期のカゼ

原因 症状 代表処方
寒邪 ゾクゾクと悪寒がする、肩や背中がこわばる 麻黄湯、葛根湯、桂枝湯
熱邪 ノドが痛い、口が乾く、発熱 銀翹散、天津感冒片、涼解楽、板藍根
湿邪 ムカムカ、吐き気、体がだるい、下痢 藿香正気散、勝湿顆粒、香蘇散

カゼを引くと、多かれ少なかれ発熱がおきますが、これは体温をあげ免疫の働きを活性化し、ウイルスや細菌に対抗するという目的があります。葛根湯などの寒邪に対応する漢方薬はこの体温をあげるという働きを促し、同時に「発汗」させる働きを持っています。汗をかくというのも体力を消耗しますので、あくまでカゼの初期に使用し、ジワリと汗をかいたら服用を中止するというのが本来の使い方です。発汗は体液を奪いますので、ご高齢の方に多い体質、陰虚(体の水分不足)の傾向にある場合はとくに注意が必要です。
発汗の働きは、

麻黄湯>葛根湯>桂枝湯

の順に強くなります。ドラックストアなどでご自分で処方を選択する場合、ご高齢者や妊娠中などで体力等に自信がない場合は、桂枝湯を選択するのが無難です。心配な場合は専門家にご相談ください。

熱邪に対応する漢方薬は、清熱解毒という働きをもつ生薬が多く含まれ、この働きは解熱作用や抗菌、抗ウイルス作用に該当します。強い炎症があるときに使います。カゼの初期でもすでに熱がある場合は、葛根湯よりも銀翹散が有効な場合が多くなります。

湿邪のタイプは体に余計な水分が過剰になったタイプ、とくに消化器系にこの症状が現れやすくなります。ノロウイルスや急性胃腸炎がこのタイプに該当します。胃腸の働きを整えながら、余計な水分を処理する生薬が多く含まれます。

中期のカゼ

カゼが初期で治りきらずにこじれてしまった時に使う処方。様々な症状がありますが、熱は下がったのに胃のムカムカだけしばらく続いたり、咳が残ったりするケースが多いようです。このような場合には、
小柴胡湯・・・カゼ後期の胃腸トラブル
麦門冬湯・・・ノドの乾燥やから咳
蘇子降気湯・・・慢性気管支炎
漢方では初期のカゼを表証、こじれてしまったカゼを裏証と呼びますが、こじれてしまった場合はこの処方と言うわけには行きません。数週間症状が改善しない場合は何らかの原因で抵抗力が落ちている状態ですので、一度ご相談せれることをオススメします。

カゼをひきやすい方の体質改善に

一年を通して何度もカゼを引いてしまうという場合、漢方の代表的な病証では「衛気虚」といい、体表の免疫力が低下しているような状態ととらえます。この場合に用いられる漢方薬は玉屏風散(ぎょくびょうぶさん)、衛益顆粒(えいえきかりゅう)が代表的な処方です。通常のカゼに使う漢方薬は即効性の高いものが多いですが、体質改善を行う漢方薬ですので衛益顆粒は少し長めに飲んでいくタイプの漢方薬です。

葛根湯の正しい使い方

葛根湯が適応となる場合は、カゼの初期でも本当にごくわずかな初期。カゼっぽいなと言うタイミングで購入しに行く頃には、服用のタイミングは過ぎてしまうことも多いと思います。常に用意しておいて、ゾクゾクとおかしいなと感じたときにすぐに服用できるようにしておくと効果が最も期待できます。そして、ジワリと汗を書いたら中止。その時点で葛根湯は飲む必要はありません。
慢性的な肩こりにで服用されているケースもありますが、これも注意が必要です。葛根湯に含まれる生薬、麻黄(まおう)にはエフェドリンと言う交感神経を高ぶらせ代謝を高める成分が含まれています。使用する上で以下の点にはご注意ください。

1.甲状腺機能亢進症の患者[甲状腺機能亢進症が悪化するおそれがある。]
2.高血圧症の患者[本剤には血圧上昇作用がある。]
3.心疾患のある患者[本剤には心刺激作用がある。]
4.糖尿病の患者[血糖が上昇するおそれがある。]
5.緑内障の患者[眼圧が上昇するおそれがある。]
6.前立腺肥大症の患者[排尿障害が悪化するおそれがある。]
交感神経を高ぶらせ興奮させる働きがあるので、カゼをひきやすいので予防のために服用したり、高齢者などの体力が低下している方が長期間服用を続けるのもお勧めできません。体力や免疫力をかえって低下させてしまう恐れがあります。

葛根湯などの漢方薬と市販の総合感冒薬(カゼ薬)等との併用は?

市販の総合感冒薬(カゼ薬)との併用は可能ですが、気をつけていただきたいことが何点かあります。市販薬の中には漢方薬の成分を抽出して配合されているものもあり、重複する可能性があります。

成分 効能 注意が必要な生薬
エフェドリン 気管支拡張 麻黄(まおう)
グリチルリチン 抗炎症 甘草(かんぞう)

また、総合感冒薬(カゼ薬)には解熱成分が含まれているものが多いですが、葛根湯、麻黄湯、桂枝湯などは体を温める働きです。一緒に併用してしまうと漢方薬の効果も弱まってしまう可能性も高いと思います。総合感冒薬(カゼ薬)はカゼを治す薬ではなく、あくまでカゼのつらい症状を抑える薬です。ある程度我慢できる範囲であれば、使用しないというのも選択の一つです。

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子供の夜泣き・神経症・おねしょに小建中湯が効く理由 https://kanpo-kawashima.com/blog/kanpou-contents/kanpoyaku/child-shoukenchuutou/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=child-shoukenchuutou Wed, 17 Oct 2018 07:36:53 +0000 https://kanpo-kawashima.com/?p=2101 子供はとても元気で活発に行動しますね。こんな小さい体のどこにそんな体力があるのか本当に不思議なくらい。漢方ではこのような状態を「陽気」に満ちた状態、エネルギーが有り余っている状態と考えます。ちょっとしたことでも大喜びしますし、テンションも高いですからね。中には元気すぎて手をやくこともありますが…
こんな子供特有の元気いっぱい、陽気に満ちた状態というものも、交感神経を高ぶらせ興奮させやすい状態を作る一因にもなります。子供の夜泣き・神経症・おねしょは成長するまである程度は仕方がない、個性の範囲内と考えるべきものでもあります。多くは成長とともに落ち着いていきますので。漢方薬では無理に抑えるのではなく、成長を助けながら自然に落ち着かせていくというのが一番理想的かと思います。小建中湯はそんな子供の成長を応援してくれる処方です。

甘くて飲みやすい、小建中湯

効能・効果
体質虚弱で疲労しやすく、血色がすぐれず、腹痛、動悸、手足のほてり、冷え、頻尿および多尿などのいずれかを伴う次の諸症:小児虚弱体質、小児夜尿症、慢性胃腸炎、夜なき、神経質、疲労倦怠。

小建中湯は、桂皮(ケイヒ)、生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ)、芍薬(シャクヤク)、甘草(カンゾウ)、膠飴(コウイ)という6つの生薬でできています。生薬名だと分かりにくいですが、小建中湯の構成生薬はほとんどが身近な食品や香辛料です。

  • 桂皮(ケイヒ)・・・シナモン
  • 生姜(ショウキョウ)・・・名前の通りショウガ
  • 大棗(タイソウ)・・・最近ではあまり見なくなりましたが、果物のナツメを乾燥させた物です。
  • 膠飴(コウイ)・・・水飴です。意外かもしれませんが、水飴も生薬なんですね(^-^;
  • 甘草(カンゾウ)・・・名前の通り甘味の強い生薬で、お菓子やジュースなどの甘味料に使われることもあります。

こういった身近な生薬に、補血や筋肉や筋の緊張をほぐす芍薬(シャクヤク)が配合されています。
桂皮やショウキョウには体を温め、風邪の引きがけのゾクゾクした寒気を改善させる働きがあります。漢方ではこの状態を、風寒表証と言いますが、まさに感染症の原因となる細菌やウイルスを体を温め発汗を促すことによって、体外に追い払おうというイメージです。風邪を引いてひどい寒気がして、一眠りして汗をかいたらスッキリした、なんていう経験がある方も多いと思いますが、まさにこの働きを狙ったものです。
また、「アイスを食べ過ぎるとお腹が痛くなる。」とお子さんに伝えることも多いと思いますが、冷たいものを摂りすぎると、筋肉が収縮したり、異常なケイレンを起こして腹痛が起きます。やっぱりこのような場合は、温めてあげることが大切です。脾(消化器系)は冷えに弱いので、桂皮(ケイヒ)、生姜(ショウキョウ)は胃腸を温め、機能を整えるという意味合いもあります。そこに、筋肉のこわばりや緊張をほぐす芍薬(しゃくやく)が加わります。

タイソウ(ナツメ)やコウイ(水飴)は主に脾(消化器系)の働きを高める作用を持ちます。
ナツメ、食べたことありますか?昔は庭の軒先きでよく見られましたが、ナツメを狙って鳥がやってきて、庭先にたくさんフンをするので、最近はもう切ってしまったという家庭も多いですね。
ナツメ、生のものはリンゴに似た味がします。甘くて美味しいです。
水飴もそうですが、この甘味というのは脾(消化器系)に作用しやすく、弱っているときは消化器系の「気」を補い、元気にしていくような働きがあります。

小建中湯は脾(消化器系)の働きを整える処方

生まれたての赤ちゃんは、母乳やミルクしか飲みませんが、成長とともにやがて歯が生え、固形物を食べられるようになってきます。ウンチも最初はゆるいですが、離乳食を食べれるようになってくると徐々に固形になってきますね。でもまだ未消化のまま残っていたりと消化できていない場合もありますが(^^;)
これは生まれたばかりの頃は胃腸が大人と同じように成熟してないので、食べ物を与えても消化が十分にできないためです。ちょっと食べすぎただけで嘔吐したり、下痢や便秘をおこしてしまいます。小建中湯はこんなお子さんの弱い胃腸を応援してくれる処方です。

小建中湯って胃腸薬じゃないの?夜泣き・神経症・おねしょに聞く理由

ここまでの話だと、胃腸を元気にする話しか出てきませんね、でも小建中湯には夜泣き・神経症・夜尿症(おねしょ)の効能も記載されています。胃腸にしか働かないように見えますが、このような理由があります。

大人と比べて体重の少ない子供は、冷たい飲食物や寒暖差の影響を受けやすく、体温も変化しやすいです。冷えるとトイレは近くなってしまいますし、体内の消化酵素も冷えると活性を失ってしまうので、体温をしっかり維持するというのは大切です。桂皮(ケイヒ)や生姜(ショウキョウ)などはお腹を温める働きがあり、この部分を助けてくれます。

また、睡眠は夕食を終えてちゃんと消化が終わってから、という流れが理想的ですが、胃腸の機能が未熟な子供の場合、消化をするに時間がかかります。胃腸の機能がまだ成熟し切っていない子供にとって、遅い夕食は睡眠の質を低下させます。未消化物がまだお腹の中にあると、体は消化を行おうとするので、深い睡眠の妨げになります。例えば歯ぎしり、これは睡眠が浅いときに起こることがわかっていますが、無意識に消化を促そうとする反応の表れでもあります。

漢方・中医学では未消化物は体に不調を起こす原因となる「湿熱」を発生させます。「湿」は体の中にたまった余計な水分で、下痢や嘔吐などの引き金になります。「熱」は上に昇りやすいという性質があるため、とくに頭部に熱がこもりやすく、この状態はとても交感神経が高ぶりやすく興奮しやすい状態を作ります。

興奮しやすいのは「肝」の異常

漢方・中医学でいう臓器の一つ、「肝」には「疎泄を主る」という働きがあります。これは他の臓器コントロールしたりスムーズに働けるようするという意味で、現代でいう自律神経の働きと類似しています。つまり現代でいう自律神経の乱れは、漢方・中医学の肝の乱れに相当します。

肝の乱れを招く原因はいくつかありますが、今回はテーマが小建中湯ですので胃腸との関係を強調します。
消化器系(脾)と肝の関係では、消化吸収は肝気の助けがあって行われます。脾の機能が弱って消化ができないと、行き場を失った肝気は好き勝手に暴走し、自律神経にも影響が現れます。小建中湯は胃腸の調子を整え消化吸収を促し、肝にしっかり仕事を与えることで暴走させないようにするとこで、自律神経の安定をはかります。

体を流れる気血水、これは流れている間は心配いりませんが、停滞するとやがて熱を持つようになってきます。熱はエネルギーですので、交感神経を余計に高ぶらせるようなイメージです。「肝火上炎」というのは、肝気欝滞がさらに進んで、「気の滞り+熱」を持ったような状態。この状態はイライラにさらに強いエネルギーが加わるので、より怒りっぽくなったり攻撃的になったりします。ここまでくると抑肝散や竜胆瀉肝湯などの漢方薬の適応となります。
抑肝散も子供の疳の虫、夜泣き、歯ぎしりなどに使う有名な処方ですが、小建中湯は脾(消化器系)の機能を補う抑肝散は、名前の通り「肝」の高ぶりを抑えるという働きで、同じような効能が記載されていますが、処方の働きは全く別の処方です。こちらはまた別の機会に詳しくご紹介したいと思います。

小建中湯が夜尿症(おねしょ)に効くもう一つの理由

睡眠中、消化が活発に行われていると睡眠が浅くなり、夢見が多くなりますから。お子さんはトイレに行く夢を見てしまったりと、おねしょしてしまうリスクは高くなってしまいます。小建中湯は消化器系(脾)の働きを高めることで深い睡眠を促すという働きも期待できると思いますが、おねしょはもう一つ別の働きが関係します。
人間は排泄のコントロールが苦手な時期があります。それは幼少期と老年期。
これは「腎気」働きと関係します。
漢方・中医学で「腎」は成長・老化を主る臓器です。そして気の働きの一つに「固摂作用」といい、体にとって必要なものをしっかり留めておくいう働きがあります。

赤ちゃんが排泄のコントロールがうまくできないのは腎気が充実していないため
老年期の尿漏れなどは、腎気が衰えてきたため

生まれて成長とともに腎気が充実してくると、固摂作用、排泄を我慢できる力が備わってきます。「気」とはエネルギーに該当するので、食べ物を消化吸収する消化器系(脾)の働きが関係します。小建中湯は消化器系(脾)の働きを高め「気」を作り出す働きを高めることで、おしっこを我慢する力を育てていきます。 「気」の働きは固摂作用のほかに免疫力に相当する働きも持ちます。脾(消化器系)が弱く「気」が作れない状態は、風邪をひきやすい、アレルギーといった体質に繋がるので、幼少期の胃腸ケアはとても大切です。

最近は塾や習い事で夕食が遅くなる場合も多いですね。夜泣き、疳の虫、夜尿症(おねしょ)でお悩みの場合は、夕食はなるべく胃腸の負担にならないように工夫する必要があります。とくに高タンパク・高脂肪のものは消化に負担がかかるので注意してください。
どうしても夕食が遅くなってしまうという場合は、漢方で消導薬に分類される(働きとしては消化剤に近いです)、晶三仙も役立つと思います。

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