高プロラクチン血症

出産時、乳汁を分泌させるために脳下垂体から分泌されるプロラクチン というホルモンが、妊娠していないにも関わらず多量に分泌される 状態のことです。 このホルモンには生理や排卵を抑える働きがあるため、黄体機能不全や 排卵障害を招き不妊症の原因となってしまいます。

高プロラクチン血症の原因
  1. 薬剤性高プロラクチン血症
  2. 下垂体プロラクチノーマ
  3. 甲状腺機能低下症
  4. 妊娠・分娩、流産、人工中絶など
薬剤性高プロラクチン血症
抗うつ薬、向精神薬、降圧剤、睡眠薬、胃腸薬、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)、経口避妊薬などの副作用で高プロラクチン血症になることもあります。服用している場合は、治療にあたり必ず医師に伝えておくのが良いでしょう。
下垂体プロラクチノーマ
脳下垂体にプロラクチンを分泌する小さな良性腫瘍ができるために発症することがあります。おおきな腫瘍の場合は手術も必要なことが稀にありますが、通常はプロラクチンの値を下げる薬の服用で治療します。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能が低下すると脳から甲状腺へホルモンを出せという指令となるホルモン(TSH:甲状腺刺激ホルモン、TRH:甲状腺刺激ホルモン分泌ホルモン)が多く分泌されます。過剰なTRHは下垂体に作用しプロラクチンの分泌を促します。 甲状腺機能は一般的な健康診断では検査はしないため、機能低下に気づかないケースもよく見られるので、気になる場合は一度検査することをおすすめします。
妊娠・分娩、流産、人工中絶など
通常は分娩後、プロラクチンの分泌が亢進しますが、以後下がらないことがあります。とくに二人目の子供が欲しいのになかなか妊娠しない場合など、卒乳させないままだとプロラクチンが高くなっている場合があるので、注意が必要です。

プロラクチンの基準値

女性通常値   3〜20ng/ml(妊娠希望の場合は3〜15ng/ml)

  • 妊娠中 10〜209ng/ml
  • 閉経後 2〜20ng/ml
男性通常値   2〜18ng/ml

  • プロラクチンが高いと男性の場合でも乳汁分泌が起こることもあります。
  • 主な症状 性欲減退・勃起不全など

潜在性高プロラクチン血症

プロラクチンの数値が昼間は正常なのに、強いストレスが続いたり、夜間、黄体期などに数値が上昇してしまうことです。TRH負荷テストで検査することができます。

漢方・中医学での対処

  • 肝鬱気滞(かんうつきたい)
    ストレスにより脳下垂体が亢進し、プロラクチンを過剰に分泌してしまう
  • 腎虚
    生殖器に関わる腎の機能低下

基本的にこの2つががプロラクチンの過剰な分泌と深い関わりがあります。月経周期や体質に合わせ、漢方を使います。また、中国では断乳時、乳汁分泌を抑えるために炒った麦芽(生薬名:炒麦芽)をプロラクチンを抑える目的で使います。

 タンポポをを含むサプリメント
古来から、タンポポは蒲公英という名称で漢方薬として使われてきました。産後の授乳時や乳腺炎のときに使われることがあり、乳汁分泌を促進させ排卵を抑制する働きのあるプロラクチンを上昇させてしまうおそれがあります。よく専門家の意見を聞いてから使用するのが良いでしょう。